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日本の学校文化に感動 米国で生まれ育った少女がうれしかった3つのこととは
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米国の中学校と異なる点とは
娘の通う米国の学校給食は、残念なことに決してバランスの良い栄養をとれるような献立ではありません(食べられるだけでありがたいことは重々理解しているのですが……)。さらに、昼食に割り当てられている時間がとても短いため(約10分)、食事を途中で中断し、まだお腹が満たないうちに片づけなければならないこともしばしばです。
また、米国の学校には清掃時間というものがなく、生徒たちが使った教室や道具を自分たちで掃除することがありません。その代わり、清掃業者やJanitorと呼ばれる主に清掃に携わる管理人がそれぞれ学校に常在し、日々校内をきれいに保っています。
必ずしもそうではないと思いますが、自分で使い汚した部屋や道具を自らきれいにする、きれいに保つという意識は、物を丁寧に使い、大切にすることにつながっているのではないかと、私は思っています。
こういった環境や習慣の違いを同じ年の子ども同士が話し、体験させてもらえることは、これからの彼女たちの成長に大きな影響を与えることでしょう。
学校給食のオーガニック化が進む地域も
食を通じて暮らしの循環をお伝えしている身として、とくに成長盛りの世界の子どもたちの食事事情には、私自身とても興味があります。
普段、ロサンゼルスで生活をするなかで、オーガニック(有機)の食材はここ数年でとても身近な存在になりました。とりわけ米国は医療に大変お金がかかるため、自身の健康を保つための運動、そして食事に意識を持つ人が多いと感じます。
さらに、地球温暖化や海洋汚染などの環境問題に向き合う姿勢の人も増加。相乗効果で、環境面への配慮から持続可能な有機栽培への関心が高まっています。
私は今回の帰国で、日本の食事事情を調査することにしました。その一環で訪れたのが、千葉県の木更津市です。友人に誘われ参加した、知人が主催した食の講演会には市役所の職員の方をはじめ、オーガニックな食や暮らしを盛り上げる活動をされている地元の方々もたくさん集まっていらっしゃいました。木更津市はオーガニックな街づくりに力を入れており、市役所にはオーガニック推進課という部署があるほど。
そんな街づくりを進める木更津市のお隣・いすみ市は近年、市内すべての公立小中学校で提供している学校給食をオーガニックに。さらに無償化を実施しています。市民や活動に携わる人たちが意見交換をできる場に身を置くと、今までとまた違った感覚で「日本の暮らし」が見えてきました。
実際には千葉県だけでなく、全国で安全な食を守り、国民や未来ある子どもたちの健康を願い活動する動きがたくさんあることを知り、とてもうれしく思いました。
今回、大きく心を動かされた日本の学校について。学校で教科学習以上に、子どもも私自身も学びのある時となりました。
(小田島 勢子)
小田島 勢子(おだしま・せいこ)
ナチュラリスト。結婚を機に2004年に南カリフォルニア州へ移住し、3人の女の子を米国で出産。ロサンゼルスの片田舎でバックヤードに鶏たちと豚のスイ、犬のトウフとともに自然に囲まれた生活を送る。母になったことをきっかけに食や環境の大切さを改めて感じ、できることからコツコツと、手作り調味料や発酵食品、スーパーフードやリビングフードを取り入れた食生活をメインに、食べるものは「できるだけ子どもと一緒に作る」「残さない」がモットー。2015年に「RUSTIC」を設立。日本で取得した調理師の知識や経験を生かして食のアドバイザー、ライフスタイルのコーディネーターとして活動。日米プロスポーツ選手やアクション映画俳優の身体作りのアドバイザー、みそ、お酢、漬け物など発酵食品作りの講師、創作料理のケータリングなど幅広い分野で活躍。
https://rusticfarmla.com/