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自然災害にいち早く備えるために 気象予報士が教える台風の天気図の見方
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台風シーズンがやってきました。今年は平均の25.1個よりやや多い、29個前後の台風が発生すると予想されています。なぜ、台風は発生するのでしょうか。また、ここ最近では強い勢力の台風が日本列島に上陸し、甚大な被害を与えるケースも少なくありませんが、その原因は? 気象予報士の早田蛍さんに話を伺いました。
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海面が温められることで発生する台風の発生メカニズム 天気図での見方とは?
近年、台風の発生時期や規模感に変化が起きていることをご存じでしょうか。台風は海面温度が27度以上で発達し、勢力を維持するのですが、その海面温度27度以上の海域が日本、関東地方付近まで来ていることが多く、地球の温暖化も一因のようです。
台風の発生メカニズムからご紹介します。まず、夏の強い日差しで海面付近の空気や海水が暖められることで、たくさんの水蒸気が発生し、上昇し始めます。
そして上空でたくさんの水蒸気が集められると、今度は積乱雲が発生します。積乱雲とは、夏の空にモクモクと雲が積み重なったように見える雲のことです。その積乱雲がたくさん集まると、低気圧の渦ができ始め、熱帯低気圧が発生。さらに発達し、温かい空気が集まると中心部分の気圧がどんどん低くなり、熱帯低気圧がやがて台風へと姿を変えます。
そのため、テレビの天気予報で用いられる天気図や気象衛星の画像を見ると、台風を見つけることは簡単です。実際に、2019年9月に千葉県の房総半島を襲った台風15号の天気図と気象衛星画像を見てみましょう。
左の天気図で、ちょうど関東地方の上で丸く円状の線が重なっているのが、台風15号です。これを右の気象衛星画像で見てみると、同じく関東地方で白い雲がぐるぐると左巻きに渦を巻いているのが分かると思います。
2つの図には2時間のずれがありますが、台風の進路に大きな差はありません。台風が関東地方に上陸直前か(左図)、上陸時か(右図)の違いだけです。ただ、2つの図の見え方として、右の気象衛星では見えていませんが、左の天気図で見えているのが、台風15号の北側(右上部)にある高気圧です。