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梅雨の終わりに大雨を引き起こす要因とは 梅雨前線と高気圧と台風のトリプルセット
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梅雨の終わりに多くなる大雨。それは台風付近にある温かく湿った空気が、梅雨の雨をもたらす梅雨前線に向かって流れ込むことで前線の活動を活発にするからです。具体的なメカニズムと、災害時に的確な情報収集をして身の安全を守る方法について、気象予報士の早田蛍さんに伺いました。
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梅雨時期は「梅雨前線+台風」で大雨に
梅雨末期に大雨をもたらす典型的な天気図からご紹介します。平成29年九州北部豪雨は、2017年7月5日から6日にかけて、台風第3号と梅雨前線により福岡県と大分県を中心に記録的な大雨となりました。そのときの天気図です。
天気図の中央付近にある東西に向かって伸びた半円と三角形が付いた太線が梅雨前線です。その南側には高気圧(右下の赤丸)があり、西側へ大きく張り出しているのがわかります。
これは梅雨末期によくみられる、大雨になりやすい典型的な天気図です。高気圧周辺は時計回りに風が吹いているので、温かく湿った空気が前線の南側に流れ込んできます(赤矢印)。この影響により、前線の南側(赤楕円付近)では次々と発達した積乱雲が発生し、線状降水帯が形成されやすい状況となり大雨になりやすいとされています。
さらなる大雨の要因は、天気図の南側(左下の赤丸)に台風の卵である熱帯低気圧が発生していることです。熱帯低気圧は大雨のもととなる水蒸気をたくさん含んでいます。すなわち、前線に向かって、熱帯低気圧からさらに温かく湿った空気が次から次へと補給され、大雨がもたらされるのです。
台風から離れた地域でも大雨になる原因「停滞前線(梅雨前線)」
また、梅雨前線と台風の組み合わせによる大雨の特徴は、台風の周辺だけでなく、台風から離れた地域でも大雨になることです。
これは2023年6月頭に、西日本から東日本の太平洋側を中心に線状降水帯が発生し、大雨となったときの天気図です。
1日から3日の午前にかけて本州付近に梅雨前線が停滞し、日本の南海上に発生した台風第2号から温かく湿った空気が前線に向かって流れ込んだため前線の活動が活発化。1時間に80ミリ以上の猛烈な雨が降り、1時間の降水量が観測史上1位の値を更新した地点もありました。
このように台風が本州から遠くはれたところにあっても前線が日本付近にある場合は、台風の影響により前線の活動が活発になります。それによって台風が近づく前から大雨となり、長時間にわたって雨が降り続くため総雨量が多くなって、土砂災害や河川の氾濫などの災害につながります。
また、このような天気図には梅雨時期だけでなく「秋雨前線+台風」で秋にもなりやすいです。