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猛暑で電車の弱冷房車は避ける? 「強冷房車」のニーズも 2000人にアンケート
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「高齢者や女性だけではなく、冷房が苦手なお客様についてもご利用を想定しています」
それでは、首都圏の私鉄各社側は弱冷房車をどのような意図で運用しているのでしょうか。
東京都や周辺地域で地下鉄を運行する東京メトロは導入のきっかけについて、「車両冷房の整備を進めている際に高齢者や女性には冷房が効きすぎると感じる傾向が強く、お客様からご意見をいただくことが多くなりました。こうしたお客様の声に配慮し、よりきめ細かなサービスを提供するためにメトロ(当時は営団地下鉄)では1994年4月15日から銀座線、丸ノ内線を除く路線で弱冷房車を投入しました。高齢者や女性だけではなく、冷房が苦手なお客様についてもご利用を想定しています」と教えてくれました。温度は通常車両より2度高い「28度」の設定で、銀座線と丸ノ内線は、編成数が短く設定が難しいため導入をしていないとのことです。京王電鉄と東急電鉄も同様に、28度に設定した弱冷房車を導入しているとの回答でした。
アンケートでも声が寄せられた「強冷房車」についてはどうとらえているのでしょうか。東京・新宿や多摩地域で運営する大手私鉄の京王電鉄は「車内温度の上昇を防ぐために、冷房装置の定期的な清掃による効率向上や『遮熱・断熱フィルム』の貼り付けなど、車内温度を均一に保てるよう対策を行っているほか、停車時間がある際に、車掌が各車両の4扉のうち3扉を閉めることで車内温度を保つ対策を行っていることから、強冷房車の設定はしておりません」と回答。東京メトロは「冷房性能及び省エネの関係もありますので導入は検討しておりません。強冷房車の投入は考えておりませんが、最新の車両は以前の車両より冷房能力が向上しております」と答えてくれました。東急電鉄も「導入の検討はございません」と、今のところ3社ともに強冷房車の導入予定はなしとのことでした。
また、温度設定の調節について京王電鉄の担当者は「弱冷房車に限らず車内の空調に関しましては、体感温度に個人差があるとともに、服装やご乗車いただいている時間等により大きく異なるため、温度設定は非常に難しい問題と考えております」と話します。
鉄道会社では、乗務員による弱冷房車の案内放送、空調の使用状況の車内放送を行っているほか、車外・車内に「弱冷房車」のステッカーを貼ることで周知に努めていると言います。より多くの人が快適に、体調を崩さないよう電車に乗れるように設計された弱冷房車。必要としている人がいることについて、さらに理解が深まるといいですね。
※この記事は、「Hint-Pot」とYahoo! ニュースによる共同連携企画です。
(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム・吉原 知也)