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東大受験1年前に訪れた突然の“空白の期間” 苦手科目を乗り越え現役合格した女性の秘策とは

公開日:  /  更新日:

著者:石川 遼

東大3年生の田中妃音さん【写真:石川遼】
東大3年生の田中妃音さん【写真:石川遼】

 日本の最高峰・東京大学(以下、東大)に合格する人たちは、どのように受験を攻略していたのでしょうか。現役東大生が実践してきた勉強法やマインドに迫るこの連載。今回は、東大教養学部3年生の田中妃音(ひめね)さんのインタビューをお届けします。奈良県で有数の進学校から東大に一発合格した田中さんですが、実は数学が苦手だったそうです。第1回は、どのようにして苦手を克服し、乗り越えたのかを伺いました。

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夢の東大合格に向けて名門校へ進学も…勉強へのモチベーションが低下

 岐阜県出身の田中さんは、小学生の頃から都会への強い憧れを持っていたそうで、常に「いつかは東京へ行きたい」という思いを胸に抱いていました。そして、大学進学で志望したのが東大。クイズ番組などで取り上げられる機会が多い影響もあり、田中さんのなかで「東京の大学=東大」というイメージが定着していたそう。「6歳か、7歳の頃には東大に行ってみたいと考えるようになっていた」といいます。

 東大合格の夢を叶えるため、中学受験を選択。さらに高校は、東大合格者を毎年多数輩出している奈良県の西大和学園高等学校に進学しました。名門校での高校生活。東大に向かって一気に加速するはずでした。ところが……。

「実は高校に入学してすぐは、高校受験が終わった反動から勉強に対するモチベーションが落ちてしまっていたんです。2年生も終わりが近づき、いよいよ大学受験に気持ちを切り替えないといけないと思っていました」

コロナ禍で授業がストップ 苦手科目と向き合う機会に

 その矢先のことでした。3年生に進級する2020年春、新型コロナウイルスの感染拡大により、学校の授業がストップしてしまいます。「(2020年の)2月の終わり頃から学校に行けなくなり、それが4月の頭くらいまで続きました」。西大和学園高校では1年時から生徒一人ひとりにタブレットが支給されていたため、比較的早くオンラインを使ったリモート授業に切り替わったそうですが、それでも約1か月間は完全ストップの“空白の期間”に。

「さすがにまずいと焦りを感じていました」。勉強へのモチベーション低下で悩む自分に、コロナ禍で学校が休みという不測の事態が追い打ちをかけます。しかし、授業が止まってしまったとはいえ、そこで足を止めるわけにはいきません。田中さんはすぐに気持ちを切り替えました。“空白の期間”を自分の「勉強の遅れを取り戻すため期間」としてモチベーションを上げ、勉強に力を入れたそうです。

 田中さんは数学が大の苦手科目。「授業はどんどん進んでいきますし、宿題も毎日出されます。とくに数学では、授業の進行度に対して自分が遅れていると感じていたんです。そのことは自覚しつつも、時間が足りないというジレンマがありました。だからこそ休校になった時期は、遅れた分を追い付くために家でひとり勉強していました」

 通常ならあり得なかった“空白の期間”。そこで苦手な数学ととことん向き合うことで、苦手科目と接する独自の方法を導き出したといいます。