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現役東大生に聞くユニークな勉強法 「ノートは書き込まない、テキストは読み込まない」

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著者:石川 遼

東大3年生の田中妃音さん【写真:石川遼】
東大3年生の田中妃音さん【写真:石川遼】

 日本の最高峰・東京大学(以下、東大)に合格する人たちは、どのように受験を攻略していたのでしょうか。現役東大生が実践してきた勉強法やマインドに迫るこの連載。今回は、東大教養学部3年生の田中妃音(ひめね)さんのインタビューをお届けします。奈良県で有数の進学校から東大に一発合格した田中さんは、教科書を読み込んだり、手書きのノートを作ったりすることはせず、徹底的に無駄を省いた効率的な勉強で合格を勝ち取ったそうです。第2回は、そのユニークな勉強法について伺いました。

 ◇ ◇ ◇

隙間時間も活用 無駄を省いた効率重視の勉強法

 朝から深夜まで勉強漬けの日々という受験生は多いでしょう。田中さんも東大合格を目指して毎日、机に向かっていました。長時間に及ぶ勉強のなかで、意識していたことは「一日のなかに必ず復習の時間を設ける」ことだったそうです。

「たとえば、朝から過去問題集(過去問)を解いていたら、夜は復習という流れを意識していました。朝にやったことでも、数時間経ったらどうしても忘れてしまいますから」

 闇雲に頭に叩き込むだけではなく、同じ内容を繰り返すことで効率良く記憶に定着させることがキーポイントだったようです。

 なかなか覚えられないものについては、内容に触れる機会を増やすことで定着させていく工夫をしていたそうです。Youubeなどの動画も勉強に活用していた田中さんは、ほかにも隙間時間でできる勉強法を意識していたといいます。

「歴史の年号などは語呂合わせや動画を使って勉強していましたが、なかなか覚え切れないものは付箋などにメモし、クリアファイルに挟んで持ち歩くようにしていました。そうすることで学校の休み時間や信号の待ち時間など、ちょっとした隙間時間に見ることができます。受験の後半には付箋を部屋の壁にも貼っていました。ひとつのことを長い時間かけて覚えようとするよりも、繰り返し見る回数を増やしたほうが記憶に定着するんです。そのほうが飽きずに取り組めました」

教科書や参考書は練習問題を解いてから見る

 テキストの使い方にも個人差があります。教科書や参考書を一から読み進め、重要な部分にマーカーを引く人いるでしょう。田中さんは教科書を読み込むというよりは、実際に問題を解きつつ、わからない部分を補強する目的で使っていたといいます。

「たとえば日本史を勉強するとなったら、教科書を第1章から読んで、そのあとに練習問題を解くという流れで勉強をされる方が多いと思います。でも、単に教科書を読んでいるだけだと、意外と内容が頭に入ってこないんです。私は最初に要点をつかむためにサッと読んでおいて、そのあとは問題を解きながら、ちょっと戻って調べるときに教科書を見るという使い方をしていました」

 そこでカギになるのは、インプットとアウトプットをセットで行うことでした。

「ただ読むだけでも、意外と集中力や体力を使います。教科書だけを集中して見るよりは、問題を解くとアウトプットとを交互にすることを意識していました。どうしても最初は覚えなきゃという意識で教科書を読むほうに意識が向かいがちですが、問題を先に解いて、概要や概略がだいたいわかった状態で改めて教科書を読むと『実際に出題されたからここが大事なんだ』という気づきが得られるんです」