仕事・人生
注目高まる二拠点生活の現実 「地域おこし協力隊」として活動する建築家の奮闘とは
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秋山さんの二拠点生活は「海と山の暮らし」
一般的に二拠点生活というと、東京など都市圏と自然環境に囲まれた田舎を選ぶケースが多いかもしれません。秋山さんは、静岡県沼津市という中核地方都市と過疎認定を受けた長野県立科町を「自分のなかでは海と山の暮らしという感じですね。バカンスの気分ならビーチ、暑いときは涼しい山へ。そんなイメージでしょうか」と説明してくれました。
第二の拠点となる立科町の暮らしも、自問自答しながら1年が過ぎました。「協力隊」の先輩である永田さんが立ち上げた合同会社「T.A.R.P」にも参画し、空き家やリノベーションの相談など、次々と課題に取り組んでいます。眠い目をこすりながら、夜更けまで設計図を描くこともしばしば。時間ギリギリまで打合せをこなし、慌てて沼津市に戻る日も少なくありません。
「正直、きついと感じるときがないわけではないですが……」と率直な言葉が返ってきますが、支えとなっているのは建築家として、地方の活性化に挑む強い信念かもしれません。
日本は今、地方だけでなく、国全体が人口減少という大きな問題に直面しています。それでも秋山さんは「むしろ、ひとりの専有面積が増えること。1か所だけが自分の敷地なんておもしろくない。広い居場所があるのだと考えてもいいんじゃないか」とポジティブにとらえています。
二拠点どころか、多拠点でもいい。それは「生き方の選択肢が増えること」であると考えているようです。
(芳賀 宏)
芳賀 宏(はが・ひろし)
千葉県出身。都内の大学卒業後、1991年に産経新聞社へ入社。産経新聞、サンケイスポーツ、夕刊フジなど社内の媒体を渡り歩き、オウム真理教事件や警視庁捜査一課などの事件取材をはじめ、プロ野球、サッカー、ラグビーなどスポーツ取材に長く従事。2019年、28年間務めた産経新聞社を早期退職。プロ野球を統括する日本野球機構(NPB)で広報を担当したのち、2021年5月から「地域おこし協力隊」として長野県立科町に移住した。