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地方が抱える問題に「協力隊」が挑む 「空き家はあるのに住む家がない」 元記者の奮闘
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長野県立科町へ移住した元新聞記者の芳賀宏さん。現在は、「地域おこし協力隊」の産業振興担当としてリンゴ農家のお手伝いや立科町のPR活動を行っています。連載第7回のテーマは、地方で矛盾する問題のひとつ「空き家はたくさんあるのに、住む家はない」についてです。この問題の解決のために芳賀さんたち「協力隊」が行ったのは、「空き家改修DIY ワークショップ」でした。
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地方地域が抱える課題のひとつが「住む家がない」空き家問題
長野県立科町では現在、5人の「地域おこし協力隊」が活動しています。その一員、永田賢一郎さんと秋山晃士さんには「建築家」という肩書きがあり、それぞれ自身の建築事務所を運営しながら町の活性化に取り組んでいます。
昨年9月から12月にかけ、2人が主催する「空き家改修DIY ワークショップ」が行われました。「空き家の解体」「断熱材の敷き込み」「左官」「外構」「インテリア」の計5回で募集を行ったところ、毎回約20人、高校生から70代まで多くの方が参加。地元の方や移住を検討している他県在住者のほか、興味を持ってくれた別の地区の「地域おこし協力隊」も集まってくれました。
DIYを楽しみながら古い家を移住者向け賃貸住宅に改修するのが本ワークショップの主な目的ですが、実はもうひとつの目的もありました。それは「空き家があるのに住む家がない」という、一見すると矛盾した問題への取り組みです。町内には、確認されているだけで300軒近くの空き家がありながら、住居用に供給される物件が少ないのはなぜでしょうか?
「片づけるのが面倒」
「知らない人に貸すのは抵抗がある」
「自分の代で売りに出すのは気が引ける」
大きな理由はこの3つです。
いまや多くの市町村が掲げる「移住促進」は、立科町においても重要施策とされています。移住には、当然ながら住む場所が必要不可欠。自治体などが移住希望者に情報を提供する「空き家バンク」はマッチングの有益な手段のひとつですが、登録物件は増えていないのが実状です。