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シイタケの軸は食べられる? 石づきとの違いは おいしくなる保存方法

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

秋の味覚シイタケ(写真はイメージ)【写真:写真AC】
秋の味覚シイタケ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 シイタケは菌床栽培ものが通年出回りますが、本来は春と秋が旬。とくに秋になって原木に生えるシイタケを「秋子」と呼び、香りが高く、鍋物に向いているといいます。煮ても焼いてもおいしいシイタケですが、どのような栄養があるのでしょうか? また、かさの下にある軸や石づきは食べられるのかなどを、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

シイタケの代表的な栄養成分とは

 香りが良く、うま味成分もたっぷりと含まれているシイタケ。諸説ありますが、鎌倉時代の頃にはすでに食べられており、江戸時代になると栽培方法が開発され、広く出回るようになりました。いまや日本の食卓に欠かせない存在です。

 代表的な栄養成分として、シイタケ特有の血中のコレステロール値を下げるといわれているエリタデニンや、免疫機能を高めるβグルカンの一種レンチナンが有名です。また、豊富に含まれるエルゴステロールは紫外線を当てるとビタミンDに変化します。ビタミンDは、カルシウムの吸収を助ける働きがあり、骨粗しょう症の予防にも有効です。

 そのほか、大腸の働きを促し便秘の解消や予防が期待されている食物繊維が挙げられます。干しシイタケにおいては、うま味成分のグアニル酸も豊富。おいしいだしが出るうえ、昆布のグルタミン酸と合わせると旨みが強くなる相乗効果が期待できます。

 シイタケは、おがくずに米ぬかなどを混ぜて固めたものに種菌を繁殖させて作る「菌床栽培」のもの、丸太に種菌を植える「原木栽培」のものがあります。それぞれの栄養価は、原木栽培のほうが数字がやや高い傾向にありますが、違いはほぼありません。干しシイタケは水分が少ない分、同量で比較すると栄養価が高くなりますが、生のキノコ類には含まれないビタミンCを含むのが特徴です。

シイタケの軸は捨てたらもったいない!

シイタケの軸(写真はイメージ)【写真:写真AC】
シイタケの軸(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 シイタケというと、かさの部分しか食べずに、軸部分を捨てている人もいるかもしれません。食べられないのは軸ではなく、軸の先端部分にある黒っぽくて硬い石づきです。この石づきを切り落とした軸の部分は食べられます。

 シイタケの軸は、かさの部分と同様に、食物繊維やビタミンD、カリウム、エルゴステロールなどの栄養を含みます。軸の部分は硬いこともあるので、手で割いたり、繊維に沿って包丁で縦に切ったりして炒め物に使うほか、スープの具として食べると良いでしょう。

 日光に当てて乾燥するのもおすすめです。日光に当てることで、ビタミンDやうま味成分が増えます。または、冷凍保存すると繊維が壊れて、加熱調理する際にうま味成分が出やすくなります。軸だけまとめて冷凍庫へ保存しておいても良いでしょう。無駄なく食べたいですね。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾