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経営コンサルタントが移住促進担当として知った地方移住希望者のリアル 居住地による違いとは

公開日:  /  更新日:

著者:芳賀 宏

残りの任期期間もコンサル目線で精力的に活動予定

 居住環境の整備は自治体を中心に考えなければいけない問題ですが、経営コンサルタントでもある中平さんならではの活性化プランも検討中です。

 残りの任期では、移住促進のフォローアップや地域の産業の振興を考えるだけでなく、創業支援のためのセミナーや、事業者や経営指導員向けの勉強会開催を目指しているといいます。まさに本業のコンサルティング業務の延長で、中平さんにしかできないことかもしれません。これまでの知識と経験を落とし込むことで、町全体の機運を上げようという試みです。

「置き土産と言ってはなんですが、立科町も含めて小さな自治体には創業者が少ないのが実情です。次代に事業承継できる人材、新しく事業を立ち上げる人を育てておくことが、将来の町の経済活性化にもつながるのではないかと考えています」

 町にいる若い人たちや移住者のなかにも、新たな会社や事業を立ち上げようとする人は少なからずいます。闇雲にスタートするより、なんらかの手助けになれば成功の確率は高まるはずで、経済が回れば町に活力が生まれます。

任期満了後も活性化に貢献したい思い

 任期満了後も、中平さんはこれまでの活動で関わってきたことを継続する予定ですが、文化的な取り組みへの挑戦も考えています。それが「子どもたちに本物の音楽を学ぶ機会を提供したい」という思いです。

「LESS IS MORE」という弦楽四重奏団をご存じでしょうか? 東京芸術大学の出身者で構成され、クラシックとジャズを融合させた音楽は国内外で注目を集めています。

 実は、中平さんの高校時代の先輩がグループのプロデューサーを務めていることがわかり、どうにか立科町の子どもたちに音楽を聴かせてあげられないか模索しています。

「地元の中学校にアポを取って、たとえばコーラスとのジョイントなど演奏会ができたらいいなと思っています」と夢を描きます。教育という堅苦しいものではなく、純粋に高いレベルの音楽に触れる機会を設けられたら、子どもたちだけでなく大人にも大きな刺激と影響を与えることができるかもしれません。

 地域社会の経済活動と文化、中平さんの目指す町の活性化の未来がそこにあります。

(芳賀 宏)

芳賀 宏(はが・ひろし)

千葉県出身。都内の大学卒業後、1991年に産経新聞社へ入社。産経新聞、サンケイスポーツ、夕刊フジなど社内の媒体を渡り歩き、オウム真理教事件や警視庁捜査一課などの事件取材をはじめ、プロ野球、サッカー、ラグビーなどスポーツ取材に長く従事。2019年、28年間務めた産経新聞社を早期退職。プロ野球を統括する日本野球機構(NPB)で広報を担当したのち、2021年5月から「地域おこし協力隊」として長野県立科町に移住した。