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きっかけは愛猫 “アラフィフ”の日本人記者がドイツで語学習得に励むワケ
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何か新しいことを始めるのに年齢は関係ありません。どんなことでも本気で向き合えば、いくらでも自分を成長させることができるはずです。自身を“アラフィフ”のおじさんと言う、ドイツで暮らすサッカーライターの島崎英純さんは、愛猫の闘病をきっかけに、ドイツ語を本気で習得することを決意しました。不安な思いを抱えながら通い始めた語学学校で、島崎さんが得たものとは?
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愛猫のためにドイツ語を本気で習得 語学学校への通学を決意
6月の初めに、一緒に暮らしていた元保護猫のサツキを難病で喪ってから約3か月が過ぎました。サツキを見送った僕、そして同じく元保護猫のココロの“ふたり”での生活が始まったわけですが、ただでさえ甘えん坊のココロはいっそう僕にべったりするように。買い物で少し家を空けるだけでも激しく鳴き声を上げることもありました。ただ、それでは生活ができなくなってしまいますから、徐々にこの生活にも慣れてもらおうと、一日のなかであえてココロと距離を置く態度を取ってきました。
どんなに心を通わせようとしても、人間と猫との間には言葉の壁がありますし、感情の起伏にも違いがあると思います。できるだけ気持ちを慮って行動しようと思っても、それがココロのためにならない場合もある。でも、ココロ自身はこれまでとは異なる僕の態度に戸惑ってしまうでしょうし、寂しさを感じてしまうこともあるかもしれません。
これまでは僕がいなくても、ココロにはサツキが常に寄り添っていましたが、今は時と場合によっては家で“ひとりぼっち”になることもあります。今後、新たな猫を我が家に迎え入れるのかはわかりませんが、僕とココロにとって最適な環境がなんなのかを真剣に考える毎日が続いています。
語学学校では国籍も年齢も関係ない フランクで心地良い空間
これまで数年間ドイツで暮らしてきましたが、言葉に関してはまったくの独学で、現地の方とはつたない会話くらいしかできず、歯がゆい思いをしてきました。また近年はコロナ禍の影響もあって日常生活で人とふれあう機会が少なく、なかなかドイツ語を修得する機会を見出せず……。そこで、9月初め頃から、ドイツ語の語学学校に通い始めました。
語学学校へ通おうと決めた理由は、サツキが難病に罹患したことでした。そのとき、僕の言語能力がつたないために、動物病院の先生方とコミュニケーションがうまく取れずにご迷惑をおかけしただけでなく、サツキの病気に対しても僕自身が適切な対応をできていなかったのではないかという自戒があったからです。「僕がドイツ語を話せれば、サツキを助けられたのではないか?」なんて考えてもきりがないのは承知の上ですが、ココロとともに暮らしている今、同じ後悔をしないためにも、真剣に語学の修得を目指そうと思いました。
ただし、僕は“アラフィフ”のおじさんで、この歳で果たしてしっかり言葉を覚えられるのだろうかと、今でも不安でいっぱいです。
ドイツ語検定試験の等級には、初級のA1からA2、B1、B2、C1、そして最上級のC2と計6段階があります(※日本国内のドイツ語検定とは異なり、ドイツ国内の等級になります)。僕は初級のA1コースに通っているのですが、同じクラスの生徒さんはたぶん僕よりも年下でしょうから覚えも早いでしょう。
ちなみに、僕は英語も毛が生えた程度しか話せません。さまざまな国籍の方が集まる語学学校で適切なコミュニケーションが取れるのだろうかと、入学の前からどんよりとした気分になってしまいました。
でも、実際に語学学校で授業を受けた今は少しだけ緊張がほぐれました。もちろん、語学習得までの道のりは絶望的に果てしないことは認識しましたが(笑)。講義をしてくださる先生方、そしてともに学ぶクラスメイトたちとの関係は非常に良好で、これならば勉強を続けられると思っています。
そしてやはり、クラスメイトのなかでは僕が一番歳上でした(笑)。でも、その仲間たちは年齢差なんてまったく気にならないくらいに個性的で、国籍も多岐にわたるのです。ちなみに日本人は僕だけで、ほかはインド人やアゼルバイジャン人、クロアチア人、英国人、コロンビア人、トルコ人、モルドバ人など。教室では先生を含めて、誰も僕のことを“アラフィフ”のおじさんとしてとらえていません(笑)。ドイツ語をともに学ぶ仲間として常に対等な関係で、良い意味で完全な“無礼講”である環境はとても心地の良いものです。
そもそも海外では、お互いの関係性のなかであまり年齢差を気にしないように感じてきました。語学学校というコミュニティでもその風土は健在で、「年寄りが語学なんて……」と思い込んでいた僕にとっては目からウロコが落ちた思いです。