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秋においしいサケ 皮も食べるべきかなど気になるポイントを栄養士が解説

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

焼いたサケ(写真はイメージ)【写真:写真AC】
焼いたサケ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 日本の食卓になじみがあるサケ。通年出回っていますが、産卵のため秋(9~12月)に海から故郷の川に戻ってくる白鮭を「秋鮭」といいます。まさにこれからがおいしい季節です。サケといえば、焼き魚にするとおいしいですが、こんがりと焼き色がついたサケの皮はどうしていますか? 栄養の観点から、食べたほうが良いのでしょうか? 栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに、サケの栄養について伺いました。

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サケは栄養バランスが優れた魚 赤の色素も特徴的

 日本で水揚げされるサケといえば「白鮭」で、秋に産卵のために川に戻ってくる白鮭は「秋鮭」、春に沿岸へ寄ってくる白鮭は「時知らず(時鮭)」と呼ばれ、これからの季節は秋鮭が店頭に多く並びます。

 ちなみに、「紅鮭」や「銀鮭」は、日本ではほとんど獲れません。アラスカやカナダ、またはチリなどが主な漁獲地になっています。また、寿司のネタで人気の「サーモン」は養殖のニジマスで、チリやノルウェー産のものが多いです。

 秋鮭(白鮭)は、ほかのサケと比べると脂身が少ないのが特徴で、カロリーも低めです。日本食品標準成分表2020年版(八訂)によると、可食部100グラム(生)のエネルギーは124キロカロリー。トラウトサーモン(ニジマス)が201キロカロリー、銀鮭が188キロカロリー、紅鮭が127キロカロリーです。

 サケの栄養の特徴といえば、たんぱく質、脂質、ビタミン類などをバランス良く含む点。とくに魚特有のオメガ3脂肪酸であるDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)を多く含み、脳の活性化や血栓予防など体内でさまざまな健康作用が期待されています。

 また、身の色から誤解されやすいのですが、サケは白身魚に分類されます。サケの赤い色は、アスタキサンチンと呼ばれるカロテノイド系の色素によるもの。アスタキサンチンを含むプランクトンであるオキアミなどをエサとして食べることから赤くなるといわれ、主にエビやカニといった甲殻類にも含まれている成分です。強力な抗酸化作用があり、生活習慣病予防、老化防止などが期待されます。近年、美肌にも良いと注目され、化粧品に配合されるようになりました。

サケの皮の栄養とは 栄養を丸ごと食べるには?

サケのシチュー(写真はイメージ)【写真:写真AC】
サケのシチュー(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 焼いたサケは和食の定番です。こんがりと焼き色がついたサケの皮を食べるか食べないかは、好みが分かれるところでしょう。サケの皮にはビタミンA・D・E、カルシウム、オメガ3脂肪酸のDHAやEPA、タウリンなどなどが多く含まれています。また皮には良質なコラーゲンも。

 栄養素をしっかり摂取する視点から言えば、皮まで食べるのがおすすめです。もし、こんがり焼けなかった魚の皮は、アルミホイルを敷いてトースターで焼くとカリッとしておいしく食べられます。ただし、たんぱく質を多く含む食品を高温で加熱した際に生成されるヘテロサイクリックアミンは発がん性で知られており、魚の焦げに微量含まれるため、気になる場合、焦げすぎた皮は食べないほうが良いでしょう。

 ビタミンA・D・Eは脂溶性です。ソテーやムニエルなど、サケは油と一緒に調理すると吸収率が上昇。焼く前にペーパーで挟んでしっかりと水気を拭き取ると、臭みが取れます。フライパンを使う場合は、皮目から焼くと良いでしょう。盛り付けの際に皮目のある表面をきれいに見せるためです。

 ビタミンB群は水に溶けやすい性質があるので、これからの季節は鍋やシチューなどの汁物の具材として、皮ごと使うのもおすすめです。汁ごと食べることで、栄養をとりやすくなります。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾