食
石焼き芋が甘くなる理由とは ほくほく系やねっとり系などサツマイモの豆知識を栄養士が解説
公開日: / 更新日:
教えてくれた人:和漢 歩実
焼き芋がおいしい季節です。イモ類なのに、サツマイモはなぜこんなに甘いのでしょうか。また、食感もほくほくしたもの、ねっとりしたもので好みが分かれるところです。どんな品種があるのでしょうか。サツマイモの栄養や豆知識を、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
◇ ◇ ◇
イモ類なのに甘みがあるサツマイモ 栄養成分は?
サツマイモの主な栄養成分は、ほかのイモ類と同様に糖質(でんぷん)です。加熱すると、でんぷんはのり状(糊化)になります。サツマイモにほかのイモ類よりも甘みがあるのは、βアミラーゼという消化酵素を多量含んでいるからです。
βアミラーゼは、糊化したでんぷんに作用して、水飴などの成分で知られる麦芽糖を作り出します。65度くらいの温度が活性しやすく、75度になると失活するといわれ、急激に温度が上昇する電子レンジで加熱した場合はあまり甘くなりません。65度くらいまでの温度でじっくりと時間をかけて加熱した焼き芋は、水分がほど良く抜けて、酵素が働く時間も長くなるため甘さが強くなります。石焼き芋が甘いのは、熱した石から発生する遠赤外線が、40~75度くらいの温度でじっくりと焼くからです。
収穫したばかりのサツマイモは水分が多く含まれていて、甘みが出ません。収穫したてのサツマイモが手に入ったら、すぐには食べずに、しばらく家で常温保存しておくと良いでしょう。水洗いをすると傷みやすくなるので、皮についた汚れや土を軽く払い落とし、ひとつずつペーパーに包んで段ボール箱などに入れておきます。1~2週間ほど寝かせてから食べましょう。
サツマイモを切ると断面から乳液状の白い液体が出てきますが、これはヤラピンと呼ばれる成分です。サツマイモ独特の成分で、腸を刺激し便通を整える作用があり、サツマイモに豊富に含まれる食物繊維との相乗効果が期待できます。それ以外にも、サツマイモには体内の余分なナトリウムを排出するカリウムが含まれているほか、ビタミンCも豊富で、熱に強く壊れにくいのが特徴です。