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からだ・美容

眉やリップに施すアートメイク 持続期間はどれくらい? 失敗しないための注意点とは 医師が解説

公開日:  /  更新日:

著者:岩淵 美樹

教えてくれた人:佐藤 卓士

赤みや腫れ、痛みなど多少の副作用やリスクが起こる可能性あり

 施術は麻酔クリームを塗ってから行いますが、チクチクとした痛みを感じることがあるかもしれません。皮膚の表面とはいえ、傷を付けて色素を注入していくので、数日は赤みが出たり、腫れたりする可能性があります。これは一時的なものなので、時間の経過とともに落ち着いていきます。

 施術後1週間程度は化膿するなど炎症が起こる可能性がありますので、施術部位は清潔に保ってください。頻繁に触ったり、ゴシゴシと洗顔したり、紫外線を浴びたり、肌への刺激になることは避けましょう。

 唇はとくに乾燥しやすいので、保湿をしっかりとすることが大切。アイラインを入れた方は、目をゴシゴシとこすらないように注意が必要です。花粉症の時期は避けたほうがいいですね。まつ毛エクステを付けていると施術はできませんので、はずしておきましょう。トラブルを回避するために、医師の指示に従ってダウンタイムを過ごしてください。

 アートメイクで使用する色素には、ごく微量の金属(酸化鉄など)が含まれています。そのため、金属アレルギーの方はまれにアレルギー症状が出ることがあります。事前にパッチテストを行いますので、カウンセリングの際に金属アレルギーであることはきちんと伝えましょう。

 微量に金属が含まれるため、MRI検査ができないのではと心配される方もいます。現段階では、検査に大きな影響を与えることは少ないだろうといわれています。また、MRI検査に対応できる色素を使っているクリニックが増えていますので、過度に心配する必要はありません。とはいえ、リスクがゼロとは言い切れないので、もしMRI検査を行うことがあれば、検査前にきちんと申告をしましょう。

未成年でも親権者の同意があれば施術可能だが、よく考えて

 アートメイクに興味を持つお子さんもいるかもしれません。何歳から施術可能という規定はありませんが、皮膚が未熟な小中学生のうちは、皮膚に傷を付ける行為は避けたほうがいいでしょう。

 以前、子どものメイク整形についてお話をしましたが、子どもの皮膚は薄くて弱い状態です。肌を守る機能が未熟なので、大人よりもトラブルが起きやすいのです。

 施術による痛みやリスク、ダウンタイムの過ごし方について理解できる年齢になるまで待っても遅くはないと思います。成長すれば顔も変わっていくからです。

 アートメイクは年月が経てば薄くなっていきますが、「顔に合わない」と感じて除去したいと思ったらレーザーを使うことになり、そこでもトラブルが起こる可能性はゼロではありません。思春期が終わる頃まで待ってもいいのではないでしょうか。

 アートメイクは簡単にできますが、簡単には除去できないので、流行っているから、メイクが楽になるからと軽い気持ちでやると後悔することもあります。冒頭でもお伝えしましたが、アートメイクは医療行為です。医師が常駐していないサロンでは絶対に受けないでください。トラブルを避けるためにも医療機関できちんとカウンセリングを受け、慎重に判断をしてほしいものです。

(岩淵 美樹)

佐藤 卓士(さとう・たかし)

1970年4月7日生まれ。九州大学医学部卒。岡山大学医学部、杏林大学医学部、都立大塚病院形成外科にて研鑽を積む。医学博士、日本形成外科学会認定専門医、日本レーザー医学会認定レーザー専門医。日本形成外科学会、日本皮膚科学会、日本美容外科学会、日本レーザー医学会、日本手外科学会、日本創傷外科学会に所属。2018年よりアヴェニュー表参道クリニック院長として、形成外科・皮膚科で学んだ知識と経験を基にわかりやすい説明を心がけ、日々診療を行う。