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意外と知らないホタテの栄養 うま味成分の“正体”やダイエット向きのポイントを栄養士が解説
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教えてくれた人:和漢 歩実
さまざまなアミノ酸がたっぷり 旨味を生み出す
ホタテには、さまざまなアミノ酸やうま味成分が含まれています。たとえば、昆布の旨味として知られるグルタミン酸、肉や魚のうま味成分であるイノシン酸を始め、ホタテならではのコハク酸、甘みを感じさせるグリシン、疲労回復が期待されるアスパラギン酸や筋肉補強効果に期待できるアルギニンなどです。そのほか、炭水化物の一種グリコーゲンも含まれ、コクやまろやかさをプラス。ホタテ特有の風味を引き立てています。
また、ホタテの代表的な成分としてタウリンが挙げられます。肝機能を高め、疲労を回復する効果で知られていますが、視力の回復やインスリンの分泌促進、高血圧予防などにも期待される成分です。
そのほかには、余分な水分や塩分を排出し、むくみや高血圧に良いとされるカリウム、貧血予防の鉄、味覚を正常に保つことで有名な亜鉛などミネラルも豊富。とくにカリウムは、キュウリの1.5倍も含んでいます。
ベビーホタテはホタテと同じ? 貝殻の成分にも注目
店頭では、小さなホタテ「ベビーホタテ」を見かけることがあるでしょう。名前の通り「ホタテの稚貝」で、養殖する際に間引かれたものです。通常の養殖で出荷されるホタテは2~5年をかけて育てられますが、ベビーホタテは生後1年ほどのもの。サイズは小さいですが、種類は同じなので栄養成分も変わりません。
近年、研究が進み、これまで廃棄されていたホタテの貝殻の機能性が注目されています。粉砕した貝殻を、牧場などのエサに混ぜたり、畑のph値を整える土壌改良剤にしたりして活用されてきましたが、さらに、粉砕した貝殻を高温で焼成した水酸化カルシウムに着目。殺菌や抗菌、臭気や化学物質の分解除去といった効果が期待され、農薬が心配な野菜や果物に洗浄剤として用いられるなど、ホタテの貝殻が利用されるケースが増えているようです。
ベビーから成熟したものまで、栄養も旨味もたっぷり含むホタテ。おいしく食べましょう。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾