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男性の更年期障害で離婚危機に陥った40代夫婦に話を聞いた 「突然、家族の何もかもがイヤになりまして」と夫
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更年期は女性だけのものではありません。「加齢男性性腺機能低下症候群(LOH(ロー)症候群)」と呼ばれる男性の更年期症状は、時として女性のそれよりも厄介な症状を引き起こすことがあるそうです。日本人男性が生涯で更年期障害の症状を実感し、病院で受診する割合は驚くほど低いのが現状のようですが、近年は注目され報じられることも多くなってきました。今回は、自身の更年期症状により、家族を失いかけた男性のリアル体験談をお届けします。その時、妻はなにを感じ、どう行動したのでしょうか。今だから語れる夫婦ふたりの思いに迫りました。
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仲良し3人家族 しかし夫の態度が急変 冷たく当たるように 浮気を疑った妻
話をお聞きしたのは、神奈川県で自営業を営む働き者の佐藤敏行さん(48)と、その妻で気立ての良い純子さん(42、ともに仮名)。おふたりは文武両道のかわいい長男に恵まれ、3人仲良く暮らしていたといいます。
敏行さんいわく、純子さんは仕事をしながら家事や育児、親戚付き合いなど、家庭のことを率先してやってくれる申し分ない奥様で不満はまるでなかったとのこと。息子さんも、佐藤さんが学生時代に習っていた柔道を習い、ふたりで道場に通うこともあるほど親子関係も良好だったそうです。
ところが、順風満帆な生活を送る敏行さんの心境に突然変化が現れたのは数年前のことでした。
敏行さん「ひどい話なんですが、本当にある日突然、家族のことが何もかもイヤになってしまって……。なぜだかわからないのですが、妻の顔を見るたびにイライラするし、息子が声をかけてくるたびに『ウザイ! どっか行け!』と思うようになってしまったんですよね」
純子さん「きっかけも不明で本人はあまり自覚がないようだったのですが、本当に突然家族に冷たく当たるようになったんですよ」
敏行さんは次第に、純子さんや息子さんが話しかけてくるのを完全に無視したり、用意されていた食事を食べずに、コンビニ弁当を食べる生活をするようになってしまったそう。敏行さんの豹変ぶりに対し、純子さんは愕然としたといいます。
純子(以下敬称略)「浮気を疑ったこともありました。これは後から夫にも話しましたが、興信所にも調査をお願いしました。けれど結果は『シロ』だと言われ頭を抱えましたね。確かに夫は仕事と家の往復しかしていなかったし、休日は自室に閉じこもっているばかりだったんですよ」
敏行「あの頃はなるべく人と顔を合わせたくなかったから……」
純子「原因がまったく分からなかったので『私が悪いことをしたのなら謝るから、理由を教えて欲しい』と食い下がっても、理由を言うどころかうつむいて会話にすらならなくて……」
妻は離婚を決意するも応じない夫 出口の見えない家庭不和に別居生活へ
そうした生活が半年くらい続いたといいます。出口が見えない家庭不和。純子さんはとうとう『離婚』の二文字を口にしました。
敏行「その時の俺は、『なんで離婚? オマエらが俺をイライラさせているだけなのに?』と思ってしまっていたので、離婚には応じませんでした」
純子「埒が明かなかったので、私が息子を連れて家を出ました。私が『離婚』と言った時、『俺のメシは?』『俺の洗濯は誰がするんだよ!』と食ってかかってきて、『これは話にならないな……』と思ったんですよね」
多感な時期に差し掛かっていた息子さんに、「そんな夫の姿を見せたくなかった」という純子さん。暴力やひどい暴言があったわけではなかったので、当初家を出ることは息子さんに悪いと思ったといいます。
純子「息子が小学校を卒業するまであと1年ほどだったので、私が我慢するか、夫に出て行ってもらえるよう頼み込むしかないと思っていたんですよね。でも別居を意識するようになってから1か月くらい経った頃、私が病んでしまうことが息子にとって一番良くないことなんじゃないかと、仕事をしながらふと思ったんです。それで、せめて寂しくないよう私の実家に身を寄せることにしました」
幸い純子さんのご両親も同じ神奈川県内に住んでいたため、息子さんが小学校を卒業するまでの1年間、毎朝純子さんが車で学校まで送り、帰りは純子さんのお母さんに迎えに行ってもらうという生活で乗り切ったそうです。
別居後、純子さんは息子さんの学校行事の度に敏行さんに声をかけ、小学校の卒業式や中学校の入学式には、敏行さんも参加をしたそうです。しかし、顔を合わせると相変わらず険しい表情。息子さんから中学校の部活動について相談をされても、素っ気ない態度だったそうです。
それから数年後、敏行さんに再び変化が訪れました。