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“ヨン様”ブームを巻き起こした「冬ソナ」から20年 ロケ地となった春川の今

公開日:  /  更新日:

著者:鄭 孝俊

チュンサンの実家のロケ地 現在は「もうないですよ」

 春川明洞通りから徒歩10分ほどの丘陵地帯には、チュンサンの実家としてロケ地になった家屋がありました。撮影で使われたソファやテーブル、マグカップ、扇風機、ピアノなどが展示されており、当時は1日300人を超えるファンが訪れたといいます。

 地図を頼りに周辺を歩いてみましたが、確かにあったはずの家屋が見当たりません。筆者がキョロキョロしていると、通りがかりの60代ぐらいの男性が「もうないですよ。このあたりの大規模開発で取り壊された。チュンサンの銅像が春川明洞通りにあるから、そちらに行ってみて」と話しかけてきました。

大規模開発の渦に…ロケ地になったチュンサンの実家の家屋の姿はなかった【写真:鄭孝俊】
大規模開発の渦に…ロケ地になったチュンサンの実家の家屋の姿はなかった【写真:鄭孝俊】

 見上げると大型クレーンがうなりを上げながら重い建築資材を持ち上げ、コンクリートの建物ができつつあります。念のため、工事現場向かいのおしゃれな喫茶店「YOGER PRESSO」でコーヒーをいれていた30代ぐらいの男性店員に尋ねると「4年ほど前から住宅開発が始まって、2年後には完成予定です」。どうやら、ロケ地の家屋は取り壊しとなった可能性が高いようです。

 20年の歳月は確実に街の風景を変えていきます。チュンサンの“実家”がなくなっていたことは残念でしたが、このドラマとの出会い自体が「運命」だった思うと、ファンのひとりとして万感の思いでした。「冬ソナ」のロケ地としては南怡島が有名ですが、ソウル市内にはユジンの実家として撮影された家屋もありました。それらの足跡も、次回はたどってみたいと思います。

(鄭 孝俊)

鄭 孝俊(てい・こうしゅん)

元全国紙記者。在職中に東京大学大学院に入学し、仕事の傍ら研究生活に入る。文化人類学やメディア論に関心を持ち、韓国エンターテインメントとファン行動について論文を執筆。専攻は日韓メディア比較論。日本や韓国だけではなく、東南アジアの伝統芸能や食生活にも関心を寄せている。