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日本の賃貸探しは至れり尽くせり 英国では内見は自力、入居前の清掃なしが一般的

公開日:  /  更新日:

著者:Moyo

ロンドンで最初に住んだ家。すべての家具が備え付け【写真:Moyo】
ロンドンで最初に住んだ家。すべての家具が備え付け【写真:Moyo】

 海外移住を考えたとき、大きなハードルになるのが住まい探しです。日本では不動産会社が仲介して、親切丁寧に対応してもらえることが多いですが、世界ではどのように家探しをするのでしょうか。ひょんなことから英国に移住、就職し、海外在住歴6年を超えたMoyoさんが、外国暮らしのリアルを綴るこの連載。第3回は、英国での家探しの難しさについて紹介します。

 ◇ ◇ ◇

英国での家探しは個人で直接交渉する方法も一般的

 日本で家探しをする場合、まずは不動産会社に行って、住みたいエリアや予算、希望の間取りなどを伝えます。そして、条件に合った家を紹介してもらい、内見の際は車で案内してもらうのが一般的ですよね。また、不動産会社が提供するサイトを使えば、わざわざ足を運ばなくても詳細な物件情報が手に入りますし、まさに至れり尽くせりです。

 では、英国ではどのように家探しをスタートすればいいのでしょうか。実は日本と違って、大家さんまたは大家さん代わりになっている入居中のフラットメイトと、直接交渉することが多いです。

 英国には、物件情報を個人が自由に投稿できる有名サイトが何個もあるので、それらを駆使して部屋を見つける方法が一般的です。大きなエージェンシーを使って探す方法ももちろんありますが、私のような所帯なしが前提だと友人同士やカップルでフラット(集合住宅)を丸ごと借りるときや、個人で1~2ベッドルーム(日本では1LDKや2LDKに相当)を借りるときなどの場面で利用することが多いと思います。

 私自身は、個人エージェントを通して借りたことも、大家さんとの直接契約も、フラットメイトとの直接交渉もすべて経験しました。大手エージェンシーはいろいろな物件を扱っているので、確かに候補が一気に見つかります。しかし、総じてレントは高めに設定されていますし、実際に住んでいる人たちの情報をそこまで把握していないので、懸念点などを相談してもあまりはっきりした回答が得られないことも。なので、私は基本的に大家さんやフラットメイトとダイレクトに話せるほうを好んで探していました。

大家さんや住人とのトラブルはつきもの

 だからといって、すべての大家さんが安全・安心・良心的な人かというのは別問題です。実際に知人が被害に遭った例としては、すぐに物件が埋まってしまう今の状況に乗じて架空の物件情報を出し、ほかにも入居希望者がいるからと切迫感を出してデポジット(日本の敷金にあたります)の先払いを要求。払わせるだけ払わせて、そのまま音信不通になるという悪質な詐欺事件がありました。

 また、日本人女性のみを募集している大家同居型の物件で、いざ住み始めたら性行為を強要されるという事件も。さらに、実際に住んでみたら、キッチンやシャワー、ヒーターの使用時間を厳しく制限されるなどのトラブルを本当によく耳にしました。

納豆やキムチ、韓国料理類などは匂いが強いため、フラットメイトから何か言われるのではと常にひやひや【写真:Moyo】
納豆やキムチ、韓国料理類などは匂いが強いため、フラットメイトから何か言われるのではと常にひやひや【写真:Moyo】

 ダイバーシティの英国だからこそ発生しやすいトラブルも。いろいろな国、宗教の人が一緒に住むため、日本の感覚でカレーや納豆、キムチなど、ほかの人にとってあまりなじみのない匂いがするものを冷蔵庫に入れておくだけで苦情を言われることもあります。日本でもさまざまなトラブルは発生すると思いますが、このような面までいろいろと考えて家探しをしなくてはいけないのは、英国ならではかもしれません。

 日本とは違う慣習に従いながらの家探しだからこそ慎重に、そして疑問に思ったことやわからないことをよく質問するくらいでいいと思います。最初は私も勝手がわかりませんでしたが、内見を繰り返していると自分が気になるポイントや問題になってくるところがわかってくるので、根気良く家を探してみてください。