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そば打ち職人が教える失敗しないそばのゆで方 乾麺はひと手間でおいしさアップ
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自家製のそばつゆやドレッシング、さまざまなトッピングを試して
――新そばのおいしい食べ方を教えてください。
二八が好きな人もいれば、十割が好きな人もいます。細めが好きだったり、太めが好きだったり、新そばが好きだったり、熟成されたものが好きだったり。そばの麺ひとつをとってみても、好みはさまざま。それと同じように、食べ方もいろいろ試してみて、自分の好きなものを見つけていただけるといいと思います。
素材が持つ本来のおいしさを100とした場合、そばの打ち手は素材が持つ以上の味は出せないので、できるだけ風味を削らず100に近い状態を保つように心がけます。でも、そばつゆや天ぷら、納豆、とろろなどのトッピングは相乗効果を生み、そばのおいしさを110、120と引き上げることができる。自分がおいしいと思う組み合わせを探すのもまた、そばの楽しみのひとつです。
一般的なのはそばつゆをつけて食べる方法ですが、新そばを味わうなら市販のめんつゆを使うのではなく、ぜひご家庭でだしを取って作ってみてください。そば好きには麺が好きな人、つゆが好きな人、トッピングが好きな人がいますが、私が調べてみたところ、約7割はつゆが好きな人。好みのおいしいつゆを自分で作ってみてください。
変わり種でしたら、たとえばゴマドレッシングや青ジソドレッシングを使ってみてもおいしいですし、キムチの素でもいいですね。田舎そばのような太めの麺であれば、パスタと同じ感覚でクリームソースやバジルソースなどと合わせても、そばの風味が負けません。トッピングは大根や天かす、七味、カイワレなど、ふんだんに用意して、いろいろな組み合わせを試してみるのもおもしろいと思います。
もし十割の生そばが手に入った場合は、少量の塩をつけてそば本来の風味を楽しむのもいいでしょう。
いろいろと説明してきましたが、そばは自分の好きな食べ方で自由に楽しめばいいもの。十割でも二八でも、麺の固さやそばつゆの味、トッピングの種類など、とくにルールはありません。いろいろと試しながら、自分に合ったものを探してみてください。
鎌倉と横浜で「千花庵(ちはなあん)」という十割そばの店を営むそば職人。横浜ではそば打ち教室「蕎麦打ちStudio CHIHANA」を開き、初心者でもつなぎを使わないそば粉100%のそば打ちを楽しめる方法を伝授している。江戸時代から約290年続くそばの文化を、この先も290年以上続く文化として後世に残すため、そばの魅力を伝えている。
(Hint-Pot編集部・佐藤 直子)