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日本の就職希望者と企業は「お店とお客さん」のような関係? 英国の職探しで驚いたこととは

公開日:  /  更新日:

著者:Moyo

英ロンドンのビジネスマンたち【写真:Getty Images】
英ロンドンのビジネスマンたち【写真:Getty Images】

 海外で暮らしてみたいと、憧れを持ったことがある人は多いでしょう。外務省の海外在留邦人数調査統計によると、2022年10月1日現在で永住者は約55万7034人と過去最高に。日本を出て、海外暮らしを選択する人が増えています。しかし、住み慣れた日本を出て、文化がまったく違う国で暮らすのは大変なこと。この連載では、ひょんなことから英国に移住、就職し、海外在住歴6年を超えたMoyoさんが、外国暮らしのリアルを綴ります。第5回は、英国での職探しで必要なCVとカバーレターについてです。

 ◇ ◇ ◇

英国の就活に必須のCVとカバーレターとは

 日本では履歴書と職務経歴書をそろえるのが一般的だと思いますが、英国には英国の慣習があります。英国で用意しなければならないのは、CVとカバーレターというもの。

 CVは、ラテン語の「curriculum vitae」の略で、日本語に訳すと「人生の道筋」。その名の通り、これまでのキャリア・経験やスキル、受賞歴、趣味などを簡潔に記載した、日本の履歴書と職務経歴書をミックスしたようなものです。

 そして、カバーレターは日本語で「送付状」と訳しますが、単なる送付状とは異なります。いわばCVを補完するもので、たとえば採用担当者に「私はこんな成果をあげてきて、あなたの会社でこんなことがしたいです! 私を雇うとこんなメリットがあります!」など、自己PRや志望動機といった、CVには落とし込めない部分を強調します。カバーレターという名の、企業への熱烈レターのようなものです。

英語のCVとカバーレターに悪戦苦闘

キャリアサイト「Zety」。CVやカバーレターのサンプル、ヒントを探せるサイトは山ほどある(画像はスクリーンショット)
キャリアサイト「Zety」。CVやカバーレターのサンプル、ヒントを探せるサイトは山ほどある(画像はスクリーンショット)

 日本では、履歴書を用意する際、コンビニエンスストアや文房具店などで購入したり、企業側が用意したフォーマットをダウンロードして使用したりと、定型に添って記入することが多いでしょう。また、最近は減ってきているそうですが、手書きというのも独特な文化ですよね。

 CVやカバーレターの場合は、フォーマットが存在しません。私は英国で働き始める前の半年間に語学留学をしており、英国の語学学校でこのテーマを扱った授業を受けたことがありました。そのため、存在やどのようなものなのかはなんとなく知っていたのですが……。

 いざ実際に書き上げるとなると、驚くほど難しい! これらを両方用意するだけでひと苦労ですが、とくにカバーレターがなかなか厄介です。慣れるまでは、英語でのレターの書き方の確認から、それぞれの企業に合わせた内容の推敲まで時間がかかります。ちなみに、会社によっては「CVだけ送ってください」と書かれている場合もあり、そのときはラッキーかもしれませんね。

 CVとカバーレター両方を用意するのは、本当に骨が折れる作業ですが、これはネイティブの人たちにとっても同じこと。検索すると、書き方のヒントや、デザイン・テンプレートアイデアをくれるサイトが山ほどあるので、いろいろと見て回ると良いかもしれません。

 また、日本人がよく間違えやすいのが、日本ではおなじみの年齢(誕生日)や性別などを記入すること。英国のCVにこれらを書く必要はなく、女性が選考中に「結婚、妊娠予定はありますか?」といったプライベートなことを聞かれることも一切ありません。これらで差別して選考するのは、2010年平等法違反に当たります。

 こういった差で自分が不利になることはない! と自信を持って、ぜひ自分なりのCVとカバーレターを作ってみてください。

 また、これらをメールや企業側のプラットフォームからメッセージ付きで送ることも多いので、どれもとても頭を悩ませる作業です。ですが、いったん雛形を作ってしまえばこっちのもの。何パターンかアレンジしたものを作っておくとさらに良いかもしれません。