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「ボーナスが当たり前」の日本 英国では「ないのが普通」 職探しをするときに気をつけるべきこととは
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あと2週間もすると、冬のボーナスシーズン。何に使おうか、楽しみにしている人も多いのではないでしょうか。しかし、実はこのボーナスは日本独特の制度のようです。ひょんなことから日本を飛び出し、英国へ渡ったMoyoさん。海外在住歴は6年を超えます。そんなMoyoさんが外国暮らしのリアルを綴る連載。第6回は、英国で働いていたときの給与事情です。
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“開けてびっくり玉手箱”の給料
仕事探しで多くの人が絶対に重視する判断材料は「給料」です。日本では、応募段階で賃金レンジやボーナスが公開されているのが基本だと思います(たとえば、年収450~550万円、賞与2か月分など)。しかし、英国では最初から公開していないケースがよくあり、これがとても厄介です。
もちろんアルバイトやパートタイム、転職エージェンシーが扱っている案件などには、時給や年棒が基本的に掲載されていますが、正社員などの求人ではよく「competetive salary(水準以上の給与)」という文字を見かけます。「この『水準以上』ってなんだよ!」と誰もが思うことでしょう(最初から公開すべきだという声も強くなり、最近は少し減ってきている気もしますが)。
私も、どれくらいの給与なのかわからないまま応募したところ、選考中にHR(人事部)から想定給与を提示されるケースが何回かありました。なかには、予想よりも遥かに低いことも。最初から公開されているケースのほうが、自分の条件と合っているかわかったうえで応募できるので、個人的にはモチベーションなどに強く関わってくると思います。
ですが、そもそも日本と英国では物価も平均年収も違いますし、自分が提示された給与が妥当なのかどうかはわかりませんよね。
そんなとき、求職者側に何も術がないわけではありません。ニュースなどで聞いたことがあるかもしれませんが、英国統計局(通称ONS)という機関が年1回、業界の給与平均値などを調査しており、誰もが見られるように一般公開しています(給与以外にもいろいろな指標を発表しているので、眺めているだけでもおもしろいです)。
また、企業レビューサイト「Glassdoor」も、給与チェッカーツールとして役立ちます。実際にその会社で働いている(いた)人が投稿した給与情報や、各職種の平均給与データなどを見ることができるからです。
さらに、このサイトはインタビュー(面接)の内容や職場環境、キャリアアップの流れ、給与交渉の可能性、CEOの評判なども従業員目線で書かれており、これを読めば会社の内情がだいたいわかってくることも。自分の受ける会社を事前にチェックするのもひとつの術だと思います。「LinkedIn」にも似たようなツールがあるので、ぜひ使ってみてください。
もちろんすべての情報を鵜呑みにするのは危険ですが、こういった客観的データを参考にしつつ、自分のなかで妥当と思われる給料、そこから希望する給与を計算しておくことが必要になってきます。
日本でおなじみのボーナスがない!?
また、給与を見ていて最初に混乱したのが「k」という単位。「1000のthousand」を意味していて、たとえば給与欄に「35k-38k」と書いてあったら、3万5000~3万8000GBPという意味になります(183円換算で約640~695万円)。いろいろな場面で使われる単位なので、慣れてしまいましょう。
また、日本と違って英国は基本的に年棒制です。日本でおなじみのボーナスが必ずあるとは限らないのは少し寂しいところですが、掲載されている年棒の給与が12回に分けられて毎月手元に入ってくることになります。12で割ればひと月あたりの金額が計算できます。
例:35000GBP÷12=2916.66GBP/月 ※税引前
なかには「業績によっては10%のボーナスがあるよ!」と元から謳っている仕事もありますし、ぜひ諦めずにいろいろ探してみてください。
日本では夏と冬の年2回ボーナスを支給する企業が多いですが、このように海外ではあまりみられない制度です。なので、クレジットカードにあるボーナス払いの機能が、海外では使えない場合も。
日本で仕事していたときは「今回はどれくらいもらえるだろう? 何を買おうかな? それとも貯金しようかな?」と、ボーナス前にワクワク、そわそわしていたのを覚えています。支給額が低いことはわかっていましたが(笑)、それでもやはり特別感がありました。「次のボーナスは何に使う?」といった会話は、日本独特のものかもしれませんね。
(Moyo)
Moyo(モヨ)
新卒採用で日本の出版社に入社するも、心身ともに疲弊し20代後半にノープランで退職。それまでの海外経験は数度の旅行程度だったが、イギリスへ語学留学ののち移住した。そのまま、あれよあれよと7年の月日が経ち、現在はフランスに在住。ライター、エディター、翻訳家、コンサルタントとして活動している。最近ようやくチーズのおいしさに少し目覚める。