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共働きで財布が別の両親 父の急死で起きた問題とは 税理士が教える今すぐやるべきこと
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人生でそう何度も経験することはない遺産相続。いざというときに慌てることがないよう、あらかじめ準備をしておきたいですね。豊富な実務経験がある税理士でマネージャーナリストの板倉京さんは、元気に働いていた父を突然亡くしたという女性から、相続を前に直面した問題について相談を受けたことがあるそうです。それは、親の財産について、何がどれくらいあるかがわからないということ。こうした問題を回避するにはどうすればいいのでしょうか。
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元気だった父が急死し途方に暮れる母
遺産相続が起こると、最初に発生しがちな問題が「亡くなった方がどのような財産を持っていたのかがわからない」ということ。亡くなった方の財産を探し出すのは、意外に大変な作業なのです。
相談者の直美さん(仮名)は地方出身。仕事をしながら、東京で夫と二人暮らしです。両親は共働きでまだまだ元気だと思っていたのに、ある日お父さんが職場で倒れて、そのまま亡くなってしまいました。葬儀を終えて東京に戻ってきたばかりという直美さんは、げっそりした様子で相談に来ました。
「父が急に亡くなって、心の準備がなかったせいか、母はすっかり落ち込んでしまって、こっちも余計つらくなってしまいました。普段はしっかり者の母なんですが、なんだか頼りなくなってしまって……。私が帰る間際になって、『金庫のカギがどこにあるのかわからない』と言って泣いているんです。うちの両親は共働きだったので、お財布が別々だったみたいで、どうやら父の財産のことなんて何もわかっていないみたいなんです。しょうがないから『週末にまた来るから一緒に探そうね』と言ってきたんですが、探すといってもどうすればいいのかわからないし、専門家の方にアドバイスをもらおうと思いました」とのことでした。
亡くなってからの財産探しが難しい理由とは
実は、こうした状況はよくあること。子どものお年玉貯金ですら正確な金額を把握するのが難しいのですから、大人の、しかも一家の大黒柱の財産を把握するのは、思っている以上に大変なことです。
正直なところ、実家に一度行ったくらいでは全財産を探し切れないケースが多いのです。見つからないということは、その財産はなかったのと同じになってしまいます。
保険会社や銀行、証券会社も親切に「ここに財産がありますよ」なんて教えてくれません。となると、とにかく家中探して、財産を見つけ出すしかないというわけです。
でも、この家探しが簡単ではありません。整理整頓ができている家ならまだしも、そうでなければ、あちこちから古い通帳や証券会社からのお知らせ、保険証書などが出てきます。
そうなると、ほかにも「思いもしないところに財産があるかも」と、家中もれなく探すことになりますし、なかには銀行に貸し金庫を持っているような方もいて、これを見つけ出すのに苦労したり、銀行や保険会社の統廃合で捜索が困難になったり、いろいろな金融商品に挑戦していた方だと、過去の通帳などを手がかりに現在までの足取りを丹念にたどらなければ、財産の把握ができなかったり……。
しかも、本当に全財産探せたか明確な答えがないわけですから、どこまで頑張るかという問題もあります。こうなると、仕事を持っていてまとまった時間が取れない方や高齢の方、直美さんのように実家へ帰るのに飛行機を使うような方は本当に大変です。