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子育て主婦発案の冷凍おにぎり 米離れから子どもたちの未来を守りたい…開発の裏側を聞いた

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

俵型? 三角形? まだまだ決めることは盛りだくさん

 使用食材が決まっても、商品という形になるまでには、まだまだたくさんの苦難を乗り越える必要がありました。

「味わいはどうするか、サケやワカメの大きさはどうするか、ゴマはどの程度の量を混ぜ込むか……。とにかく決めることがたくさんあり、『たったひとつの商品を開発するのは、こんなに大変なんだ!』と驚きの連続でした。

 おにぎりの形についても、お弁当箱に入れやすく、見た目もかわいく、省スペースで収納できることから『俵型』を推す組合員が多かったのですが、新たな設備投資が必要になるので工場で製造可能な『三角形』に。ほかにも、パッケージデザインをどうするか、印刷に使う色はいくつにするか、プラスチックトレーをつけるかつけないか――本当にたくさん、決めることがありました」

 とくに悩んだのは、商品の名前。どんなものでもそうですが、商品名は購入意識に直結するため、手を抜くことは許されません。

「名前まで私たちが決めるの? って、びっくりしたんです(笑)。メンバーから案を募ったところ、そのなかにあったのが『こにぎりちゃん』という案。私たち組合員と生産者を『結ぶ』という意味を込めたいと思い、少しだけ変えた『こむすびちゃん』という名前を提案させていただきました」

三角型の「こむすびちゃん」【写真提供:生活クラブ連合会】
三角型の「こむすびちゃん」【写真提供:生活クラブ連合会】

 生産者とともに力を合わせ、議論を戦わせた2年間を経て、今年9月下旬、ついに「こむすびちゃん」の販売が始まりました。初回目標売上数は1万個。その目標を上回る1万2000個を超える注文があり、大貝さんたち開発メンバーは、ホッと胸を撫で下ろしたといいます。

「思った以上に人気が出たことから、“家で作れそうな味”で正解だったんだと実感。シンプルだからこそ、アレンジが効くんですね。子どものお弁当やおやつにもいいですし、そのままお茶漬けにしてもおいしく食べられます。

 この『こむすびちゃん』を通じて、ひとりでも多くの方に米を食べること、生産者を守ること、それが日本の農業の未来を守ることにつながるということを知っていただけたらうれしいですね」

 子育て中の主婦ならではの視点から開発された「こむすびちゃん」。噛みしめるたびに甘みが感じられる米とサケのほど良い塩味でまとめられ、ゴマの風味に噛みごたえのあるワカメが旨味を添える、小さくても満足感が高い味わいです。

 農産物の自給率の低さが課題となっている日本。しかし、私たち一人ひとりが意識を変えることによって、守ることのできる未来があります。生活クラブ組合員のみなさんの挑戦は、そうしたアプローチのひとつといえそうです。

(和栗 恵)