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「カジキマグロ」という魚はいない 意外に知らないカジキの種類や栄養を栄養士が紹介

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

カジキの切り身(写真はイメージ)【写真:写真AC】
カジキの切り身(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 大型のものは、全長4~5メートルにもなるといわれるカジキ。槍のように長く突き出た巨大な上アゴが特徴的です。店頭では、切り身で見かけることが多く「カジキマグロ」と呼ぶことがありますが、マグロの一種なのでしょうか? 意外に知らないカジキについて、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

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マグロとは違うカジキ類

 カジキの名の由来は、鋭く突き出た長い上アゴで「船の舵木(船の舵を取る堅い木枝)を貫くことからカジキと呼ばれた」といわれています。泳ぐのも速く、この鋭く伸びた上アゴでイワシやアジなどを捕食し、ときにはカツオやマグロをエサにすることもあります。

 カジキを「カジキマグロ」ということがありますが、分類上はカジキ類のため、実際にはマグロとは別。そのため、「カジキマグロ」という魚は存在しません。世界にはカジキが10種類以上いて、日本近海にはメカジキ、マカジキ、クロカジキ、バショウカジキ、シロカジキがいます。主に知られているのは、メカジキとマカジキ、クロカジキでしょう。

○メカジキ
 世界中の海に分布。上アゴが長く偏平なのが特徴です。肉は淡いピンク色。切り身でよく店頭に並ぶ種類です。

○マカジキ
 カジキ類最高の肉質といわれ、刺身や寿司ネタに。肉は、マグロのような赤い色が特徴です。

○クロカジキ
 クロカワカジキとも呼びます。死後に背中が黒くなることが名の由来。肉は薄いピンク色です。

 メカジキの水揚げ量が多い宮城県の気仙沼では、年間を通して水揚げがあります。夏場に釣れるものを「夏メカ」と呼び、さっぱりした味わいが特徴。一方、秋から冬にかけて水揚げされるものを「冬メカ」と呼び、脂が乗った濃厚な旨味が絶品といわれています。マカジキは、冬から春にかけての魚。クロカジキはカジキ類のなかでも大きくなる種のひとつであり、スポーツフィッシング界でターゲットになることでも知られています。