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1日3食カップ麺を食べ続けたら? 管理栄養士が指摘した「不足する」意外なものとは
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手軽で簡単に調理できるカップ麺は、忙しい人にとって強い味方ですが、カロリーや塩分など、健康面で気になることが多々あります。実際に毎日食べ続けると、栄養面でどのような影響があるのでしょうか。そんな疑問について、コンビニグルメを活用したダイエットや栄養アドバイスなどで人気の管理栄養士・浅野まみこさんにお聞きしました。
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過剰摂取になる塩分 イメージと異なり不足する意外なものが…
――仮に1日3食カップ麺を食べ続けると、健康面ではどのような影響が出るのでしょうか?
「健康面の影響は主に3つ。まず『塩分量の過多』ですね。カップ麺1つの塩分が5グラム前後と考えると、3食で15グラム。これは1日の食事摂取基準である『塩分目標量 男性7.5グラム/女性6.5グラム未満』の倍ほどの値になります。次に『栄養バランスの乱れ』。カップ麺は炭水化物と脂質が主な栄養素のため、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維などが不足します。
そして、カロリーが高いイメージがあると思うので意外かもしれませんが、『エネルギー不足』です。カップ麺1つが300~400キロカロリーと仮定した場合、1日3つ分のエネルギー量は900~1200キロカロリー。1日に必要なエネルギー量は運動量によって違いますが、活動量の少ない成人女性の目安が1400キロカロリーですから、不足することに。
結果、栄養バランスが乱れ、カロリー不足の状態になり、疲労感や免疫機能が低下。満足感がない、落ち着かないといった気持ちの乱れが起きるほか、肌荒れなど、多くの影響が考えられます」
――同じ炭水化物との比較で「塩むすび」だけ、「菓子パン」だけを食べ続けるのと、どのような違いがありますか?
「米は炭水化物だけでなく、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維、さらに米飯の60%は水分です。対して小麦粉で作られたパン――仮に食パンで比較すると、水分は30~40%程度と少ないうえに、糖質、脂質、塩分が加わります。
砂糖やチョコレート、ジャム、クリーム等を加える菓子パンは、さらに糖質量、脂質量が増加。惣菜パンなどもたんぱく質はある程度、期待できますが、その分、脂質量、塩分量が上がることになります。量や種類によるので一概に比較できませんが、『○○だけ』というのはどうしても不足する栄養や過剰摂取になるものが出てくるので、避けたほうが良いですね」
――忙しくて、つい昼食をカップ麺で済ませてしまいがちです。朝晩はバランスの良い食事をしている場合、1日1食であれば毎日食べても問題ないでしょうか?
「1日1食、食べて良いかは、それを続ける期間、そのほかの食事とのバランスによるので、問題ないとは言い切れません。1食をカップ麺にした場合、糖質や脂質に偏り、塩分過多になってバランスを崩す分、ほか2食でより意識的に栄養バランスを整える必要があります。
カップ麺はリンの含有量が高いため、リンの過多は亜鉛の吸収を抑制し、亜鉛不足につながることもあるので注意が必要です。そのほか、リンの過剰摂取は骨や血管への負担にもかかわることが考えられるでしょう。亜鉛をはじめ、ビタミン、ミネラルの摂取を意識したいところです。
また、麺を揚げているタイプのカップ麺の場合、油脂の酸化による影響も検討する必要があります。酸化物を食べることで過酸化脂質が増え、これは血管等への負担にかかわる面も。そうした影響を修復するのに、抗酸化ビタミンを多く摂取することが必要ですね」