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仕事・人生

実録・認知症の父の免許返納 失効手続きで病院検査へ 説得し続けたアラフィフ娘の思い

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

いよいよ検査がスタート 「娘は大げさなんですよ、本当に」と父

 検査は、精神科の医師による問診からスタート。父へ問診を行い、気になった部分は私に確認の質問が投げかけられました。

「お父さん。あなた自身は、ボケていると感じていますか?」
「私はね。記憶力が悪くなった程度で、自分のどこかが悪いなんて、思ってもいないんですよ」
「娘さんは、そうは思っていないみたいですけどね」
「娘は大げさなんですよ、本当に」

 そんな会話が繰り広げられ、苦笑したのを覚えています。

 続いて、「MMSE(ミニメンタルステート検査)」と「長谷川式簡易知能評価スケール」というテストが行われました。いずれも、父とカウンセラーのふたりきりで行われるので、どのようにテストが行われたかは実際に見ることはできませんでしたが、「MMSE」というのは10~15分程度をかけて、認知機能の障害があるかを調べる検査で、いくつかの単語を繰り返して言ったり、指示された通りの図形を描く、といった、ごく簡単な問題で「判断能力」を検査するようです。

「長谷川式簡易知能評価スケール」というのは、認知症の可能性があるかどうかを調べる問診で、「年齢はいくつですか?」「今日は何月何日、何曜日ですか?」といった質問から、5つの品物を見て、その名前を記憶できるかどうか、といったことを調べるのだそうです。

 ふたつのテストを終えて出てきた父は、苦笑しながらこう吐き捨てました。

「俺をバカだと思っているのか。くだらない質問しやがって」

 同行警察官の方によれば、このふたつのテストを行った際、カンカンに怒って出てくる人が少なくないそうです。