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英国でオフィスワークがしたい 希望の職にたどり着くには回り道も 海外在住日本人女性の金言
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海外で働いてみたい! と一度は考えたことがある人は多いでしょう。しかし、語学力に自信がなくても本当に大丈夫なのか、どんな苦労があるのかなどがわからず、挑戦できずにいませんか? ひょんなことから英国に移住、就職し、海外在住歴6年を超えたMoyoさんが、外国暮らしのリアルを綴るこの連載。第8回は、英国での職歴と、やりたい仕事をつかみ取るまでのマインドを綴ります。
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英国での初仕事デビュー! 荒波に揉まれた初日
20代後半で英国に語学留学したあと、運良くYMS(Youth Mobility Scheme)ビザを取得できた私が抱いた第一の目標は、英国で働くこと。そんな私の記念すべき英国での初仕事は、接客業でした。
英国では経験が重視されますが、応募時の私は学生時代に日本でアルバイトをした以外、接客業の経験がなく、仕事に直結する近々の経験もない状態。そこで、CV(英文履歴書)とカバーレターには、英国での暮らしを知りたいことと、英語の環境で積極的に働きたいことなどをありのままに書きました。
運良く書類選考を通ったあとは、ありがたいことに、どのような業務なのか1日体験をさせてもらいました。日本では出版社で働いていたため、まったく違う仕事内容や、完全に英語で行われるやりとりなど、慣れないことの連続。目まぐるしさに初日から圧倒されたのを今でも覚えています。
飲食店内での対応はもちろん、とくにデリバリーの対応に四苦八苦。英国はフードデリバリー業が発達しているので(ウーバーイーツはもちろん、DeliverooやJust Eatなど、大手から新興サービスまでさまざまな競合会社があります)、永遠に止まらないデリバリー受注をさばくこと、さらには担当ドライバーがピックアップに来てオーダー番号も見ずにかっさらっていくのを阻止することや、少しでも遅いとどうにかしろと怒り始めるドライバーたちを「もう少し待って」となだめるのは、かなりのスリリング体験でした(慣れてくると彼らとのつきあい方もわかってくるのですが)。
さすがロンドン。いろいろな人種の人がいるので、それぞれ英語の訛りがありますし、そもそも私の英語も基礎レベル。相手が言っていることがわからない、自分の伝えたいことが伝わらないのはかなりのストレスで、ヘロヘロになって帰宅しました。
英語学校でわかりやすいRP英語(イギリス英語の標準アクセント)を話す先生たちの言っていることが最後にはようやくわかった、少しは成長したなと自信に思っていたところ、すべて振り出しに戻される感覚でした。
個性も国籍もバラエティ豊かな職場
ドライバーのみならず、職場の人たちも多国籍で個性が強かったのはいい思い出です。日本食を扱う職場だったためか、基本的にはアジア系が多かったですが、各自出身も母国語もバラバラで、コミュニケーションの頼みの綱は英語しかないという環境。
訛り、癖なども強いため、何を言っているのかよくわからないことも多くあります。さらに、「わからないのは相手が悪い」という気持ちの強い人たちがこれまた多いこと。
一番つらかったのは、電話での応対でしょうか。小さなお店なのに、お客さんから電話での注文や質問などもそれなりにかかってきます。実際に目の前にいればもう少しスムーズに済むことも、電話だと頼れるのは自分のリスニング能力のみ。
最初から完璧にできる人などいないと肝を据えていても、ネイティブの速くてわからない単語だらけの英語に対応できず、「もう一回言ってください」と何度言ったかわかりません。
そんなときに限って、お店でも混雑や問題が発生し、ちゃんと自分の英語が伝わっていなかったり、言われたことを完全に理解していなかったりと、うまく対処できない自分に自信が失われていくことも。
そんな日々が続き、閉店後に悔しさとやるせなさで泣いたことは数知れず。日本での仕事ももちろんきつかったですが、30歳を目前に自分の力不足でコミュニケーションがうまく取れないという、また違う壁に打ちのめされました。
それでも、助けられたのは仕事場の人たち。忙しいときはみんな鬼のようになりますが、普段は基本的にユーモアもあってフレンドリー。自分の国の名物お菓子を差し入れに持ってきてくれたり、空いた時間におしゃべりしたり、仕事でよく使う単語について教えてくれたりと、たくさんお世話になりました。