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日本とは違う価値観や考え方がある 「もっといろんな世界を見てみたい」 旅に出る理由とは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・出口 夏奈子

とにかく旅が好きで世界中を旅した小林希さん【写真提供:小林希】
とにかく旅が好きで世界中を旅した小林希さん【写真提供:小林希】

 一眼レフカメラを片手に世界を旅し、近年では島旅を通して島の古民家を再生する「島プロジェクト」の立ち上げをきっかけに、離島アドバイザーとして活動したり、御朱印である「御船印」を立ち上げて御朱印めぐりプロジェクト事務局を運営したりする小林希さん。さまざまな分野で活躍する女性たちにスポットを当て、その人生を紐解く連載「私のビハインドストーリー」。前編では、小林さんを旅に連れ出した中学時代のきっかけについて伺いました。

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大学時代の専攻は心理学 新卒で入った会社では書籍編集を担当

「大学時代に心理学を専攻していて、将来は臨床心理士とか、カウンセラーになろうかなと思っていたんです。でも、勉強してみると、自分には向いていないことがわかってきて。違うことをやったほうがいいんだろうなあとは思っていたんですけど、そんなときに一眼レフを手に旅もしていたので、旅を通して人に何か影響を与えられるようなことがしたいと漠然と考えていました」

 当時は「mixi」が出始めた頃で、まだまだ雑誌や書籍が主流だった時代。そこで、「本を作る編集者になろう」と思ったといいます。たまたま株式会社サイバーエージェントの社員と知り合う機会があり、「なんでも挑戦できる雰囲気が感じられた」と採用試験に臨んだそうです。

 株式会社サイバーエージェントといえば、ITベンチャーを代表する企業のひとつ。採用試験のグループ面接では、「刺激的でおもしろい学生が多かった」といいます。そんななかで小林さんは、「インターネットの会社が出版事業をやるのもおもしろいんじゃないか、ネットコンテンツを逆に紙にして形にする部署があってもいいんじゃないか」と一貫して言い続けたところ、社長面接の際に「一緒に出版社を作ろう」と言ってもらえたそうです。小林さんは見事採用を勝ち取り、配属されたのは、立ち上がったばかりのアメーバブックスでした。

 アメーバブックスでは、主にサイバーエージェントが運営するアメーバブログの人気コンテンツを書籍化する書籍編集を担当していた小林さん。そのなかでも、芸能人やタレント、読者モデルのブログの書籍化や、会社が手がけていたアメーバピグのガイドブックを作っていたそうで、仕事自体は楽しかったといいます。

「それでもやっぱり旅がしたくて、辞めるとき、編集長に『旅に出るので会社を辞めます』って言ったら、『お前はずっと旅に行きたいって言ってたもんな。わかった、行ってこい』って背中を押してくれたんです。忘れもしません。2011年12月27日でした。『ありがとうございました』と社員証を返却して、その足で羽田空港に向かい、世界をめぐる旅を始めました」

父の海外赴任がきっかけで感じた、日本とは違う価値観や考え方

 なぜ、それほどまでに旅にこだわるようになったのでしょうか。それは、小林さんの父親がフィリピンに単身赴任したことがきっかけだったと振り返ります。

「私が中学校に上がるタイミングで、父がフィリピンへ単身赴任になったのですが、父に会いに何度かフィリピンを訪れたとき、あまりにも日本と違うのでカルチャーショックを受けたんです」

 当時、小学生の小林さんは日本で生きづらさを感じていたといいます。

「うまく生きることができないというか、空回りしちゃうというか。何をしても思うようにいかなくて……。自分がどういう人間なのか、自分自身をほかの人にどう表現したらいいのか、うまくできていなかったんです」

 中学生になったばかりの多感な年頃だったのも相まってか、「自分のことが好きじゃなかった」そう。

「当時のフィリピンの人たちは、貧しいのにしっかり生きようとしていて、どんな生き方であれ、生きるということが力強く感じられたんです。そういった人たちを見ていて『幸せってなんなんだろう』とわからなくなってしまいました。日本は物質的には恵まれているけど、私のように生きづらさを感じてやさぐれている人もいる。物質的に豊かな日本と、そうじゃないフィリピン。精神的な幸せはどっちにあるんだろう、と。目に見えてるものがすべてではないんだなと感じて、もっと自分らしく生きたいと思ったんです」

 フィリピンで出会った、日本とは違う価値観や考え方。それらを通して、少しずつ自分を主張することができるようになっていたそうです。