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日本とは違う価値観や考え方がある 「もっといろんな世界を見てみたい」 旅に出る理由とは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・出口 夏奈子

私が旅に出る理由 「もっといろんな世界を見てみたい」

 もうひとつ、生きづらさを感じていた理由に母親の存在がありました。「母はもともと自分の見える範囲に子どもたちを置いておきたい人」で、そんな母親に反発して、よくけんかをしていたと小林さんはいいます。

「若かったというのもあってか、とにかく母とはけんかをしていました。それで早く自立したいというか、親元から離れたいという思いもあって。それも旅する理由だったと思います」

 小林さんは「単に旅行に行きたい」ということではなく、「精神的な旅立ちがそのまま現実に投影されていたような感じ」だったと口にします。

「イニシエーション的な、それがもうライフスタイルになったような感じかな。私たちってやはり心にとらわれて生きているので、どうしてもこうでなきゃいけないとか、思い込みや偏見によって、ある種、秩序が保たれているところもあるとは思うんですね。それが社会というものなんでしょうけど。でも、必ずしもそれで個人が、一人ひとりが幸せに生きられるのかといえば、そうじゃないこともあります。

 もともと持って生まれた性格とかもあって、『私はなんでこんなにうまく生きられないんだろう』ってずっと考え続けていました。でも、日本とは違う価値観を持つ国に行くことで『そう言っていいんだ』『そう思ってもいいんだ』って、たとえそれによってゆがみが生じたとしても、そのこと自体をなんとも思わないような強さが『いいなあ』って素直に思えたんです」

 世界にはいろいろな人がいて、いろいろな考え方があります。旅に出て、日本とは違う国を知ることで、小林さんは自己表現や自己確立のようなものを意識するようになったといいます。そして、心の世界に興味を持つようになったそうです。人は心のあり方で見えるものが変わります。心理学を学ぶために大学進学を目指しつつ、「もっといろんな世界を見てみたい」と旅への思いも募らせていきました。

◇小林希(こばやし・のぞみ)
東京都生まれ。大学卒業後に株式会社サイバーエージェントに入社。子会社のアメーバブックス新社にて書籍の編集に携わる。2011年末に退職し、一眼レフを片手に世界旅行の旅へ。帰国後、「恋する旅女世界をゆく─29歳、会社を辞めて旅に出た」(幻冬舎刊)で旅作家へ転身。2014年には瀬戸内海の讃岐広島で古民家を再生する島プロジェクトを立ち上げ、「ゲストハウスひるねこ」を開業。以降、島などの活性化にも取り組む。これまでに海外65か国、国内130島以上をめぐり、その経験から多数の本を執筆。2019年に一般社団法人日本旅客船協会の船旅アンバサダーに就任し、2021年4月に始動した「御船印めぐりプロジェクト」の事務局を運営。

(Hint-Pot編集部・出口 夏奈子)