仕事・人生
世界をめぐる旅から島めぐりへ 元書籍編集者が旅を通して得た自身の変化とは
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旅を通して得たものは自分自身の変化
アートと猫を求めて瀬戸内海を訪れていた小林さんにとって、島プロジェクトを行うことは想像もしていなかった展開。それでも、この縁がきっかけで離島の課題を知ることができ、島と島、島と本土を結ぶ船の就航を止めないために、船旅の活性化が必要だと感じました。そして縁あって、2019年11月に一般社団法人日本旅客船協会の船旅アンバサダーに就任。その後に「御船印」を生み出すなど、新たな活動も行っています。
世界中を渡り歩いた小林さんが、旅を通して得たものは「変わることができたこと」だといいます。
「旅を通して、自分自身が本当に変わりました。ただ勝手に変わっていくというよりは、やっぱり旅での経験を通して、どう対処したらいいかを考えたり、勇気を持って、今までできなかったことをやってみたりすること、そしてその積み重ねによって変わることができたと思います」
さらに、人に対して自分自身を伝えることもできるようになったそう。
「人とのコミュニケーションは先進国だろうと、発展途上国だろうと関係ありません。ノーというときははっきり言わないと実害を受けますし、うれしいとき、楽しいときにきちんとその気持ちを伝えることで、みんなも楽しくなります。でも、昔の私だったら無理でした。人に対してまったくノーが言えない人間でしたから(苦笑)。これはもう経験や慣れのおかげです」
そんな小林さんの夢とは?
「実は……目標を全然持たないタイプなんです(苦笑)。ただ、今を一生懸命生きていれば絶対に未来につながっていくと思いますし、その先にたどり着いて振り返ったときに、道はできていると思うんです。興味のある大好きな世界観のなかで、いろいろな人たちと楽しく生きていくのが一番大事なので、未来については、今は何も考えていません」
これからも好きなことに出合い、真剣に向き合うなかで、自然と道を作っていくのかもしれませんね。
東京都生まれ。大学卒業後に株式会社サイバーエージェントに入社。子会社のアメーバブックス新社にて書籍の編集に携わる。2011年末に退職し、一眼レフを片手に世界旅行の旅へ。帰国後、「恋する旅女世界をゆく─29歳、会社を辞めて旅に出た」(幻冬舎刊)で旅作家へ転身。2014年には瀬戸内海の讃岐広島で古民家を再生する島プロジェクトを立ち上げ、「ゲストハウスひるねこ」を開業。以降、島などの活性化にも取り組む。これまでに海外65か国、国内130島以上をめぐり、その経験から多数の本を執筆。2019年に一般社団法人日本旅客船協会の船旅アンバサダーに就任し、2021年4月に始動した「御船印めぐりプロジェクト」の事務局を運営。
(Hint-Pot編集部・出口 夏奈子)