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Xで有名な「のりふみさん」ってどんな人? たった2年で人気企業アカウントに 担当者の信念とは
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いまや人気アカウントが数多く存在する企業公式X(ツイッター)。そのなかでも、たった2年足らずでフォロワー数を4倍以上に増やしているのが、練り物メーカーの株式会社紀文食品(以下、紀文)です。創業90年近い企業でありながら、ファンの心をつかんで離さない柔軟なSNS戦略は、いったいどのように始まったのでしょうか。毎日、楽しいおいしい情報を欠かさないのがモットーだという“中の人”、「のりふみ」さんこと同社営業企画部の塙拓也さんに伺いました。
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「のりふみさん」の素顔
「おはんぺん、のりふみさん」
紀文の公式Xアカウントには毎朝、そんなリプライ(返信)がたくさん寄せられます。「のりふみさん」とは、紀文(きぶん)を訓読みしたフォロワーからのファンネーム。
そう呼ばれるようになったきっかけは、あるX(当時はツイッター)ユーザーが同社の製品につけられた「紀文」の焼き印を読み間違えて「誰?」と投稿したことでした。それに対し公式が「私です」と反応すると、ほかの企業アカウントも参加する大喜利大会が開始。Xでトレンド入りするほどの大盛り上がりを見せ、今ではすっかり定着してしまったのです。
そこで気になるのが、SNSの人気者「のりふみさん」はどのような人物かということ。その正体は、同社の営業企画部に所属する塙拓也さんです。
SNSを有効活用して、自社製品の認知を広げたいと自ら志願
学生時代は柔道に打ち込んでいたというがっしりとした体格に、明るい笑顔、はきはきとした語り口が印象的な塙さん。しかし、本人は自身のことを「根暗」だと話します。フォロワーとのウィットに富んだやりとりからは想像がつきませんが、Xの投稿にはプライベートや本来のキャラクターを一切出さないように注意しているそうです。
実は、同社のXを担当するのは塙さんが4代目。3代目まではもっぱらプレゼントキャンペーンなどを投稿しており、塙さんはもともと情報が一方通行なことが気になっていたといいます。
また、営業経験を通して、購入動機の多くが「スーパーマーケットなどの販売コーナーで見かけて」「値段が安いから」「おいしそうだから」と衝動的なことに気がつきました。
「やっぱりこの企業が好きだから買いたい」と思ってもらうには、コミュニケーションによって企業のファンを増やすことが大切。そう感じ取っていた塙さんは、SNSをもっと有効に使うべきだと確信しました。こうして愛する自社製品の認知拡大に役立てたいと、自らX担当に志願したのは2021年のことでした。
「私はドンピシャのSNS世代。高校生のときにはすでにツイッター(現X)が流行っていました。もともと個人的にツイッターはかなり利用していて、SNSのなかでは一番相性がいいなと思っていたんです。なので、ツイッターを使って企業とお客様とのコミュニケーションの架け橋になるようなことをしたいと思いました。それで、元は普通の営業をしていたのですが、面談のときにやってみたいと言ってみたんです」