どうぶつ
「受け入れてくれるのか」 生後3か月の保護猫と先住猫たちとの対面 「あいさつ代わりにシャーを…」
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「我が家に来るまでに…」 濁った目ヤニが心配で、かかりつけの動物病院へ
そうせきはやってきたときから、ちょっと様子が変でした。とくに左目から、濁った目ヤニが出ていたことです。手やティッシュでこまめに取ってあげるのですが、なかなか止まらないので、ワクチン接種の相談も兼ね、我が家のかかりつけのS動物病院に連れていきました。
「新しい猫(こ)が来たんですか」
先生もスタッフも目を輝かせながら迎えてくれました。キャリーバッグから取り出すと、先生がまだ小さくて真っ黒な子猫を両手のひらにのせました。
「お名前は?」
「そうせき」
「?」
「夏目漱石のそうせき。そうせきはひらがなです」
大胆にも、かの文豪の名前をいただくとは……誰もが首を傾げても仕方がない名前です。
「あら~。そうせきちゃんですか」と先生には笑われてしまいました。
猫の目ヤニ用目薬を処方してもらい、1週間様子を見ることになりました。我が家に来るまでにいろんな猫と接し、ウイルスなどをもらったのでしょうか。こんなこともあるのかもしれません。ワクチン接種は治療が終わって、間を置いてということでした。
家に連れ帰って、小さいのにクリッとしたそうせきの目に目薬を差してあげました。そんなことが2、3日。しかし、なかなか目ヤニが止まりません。逆に目ヤニは最初よりもドロッとして、色が濃くなった感じになっていました。手で取ったら、1、2センチの長さになって取れます。
そこで、再度、病院に連れていきました。かゆいので知らない間に、こすっているのではないかという診断でした。
「子猫用のエリザベスカラーがあるので、しばらくそれをつけて様子を見ましょう。目薬はちょっとストップしてみましょうか」
そんなわけで、すぐに先住猫と仲良しになったそうせきですが、家ではカラーをつけた変な猫になってしまいました。ガトーもクーもグロテスクな姿でよく動き回るそうせきには引きぎみです。
目ヤニが出なくなるまで1週間近く。12日目でカラーをはずすことができました。その間のそうせきはカラーが邪魔なのに、気にする様子もなく階段をピョンピョン上がり、ごはんも食べる。生命力が強いのか、気に病んだり不自由に感じたりしている様子はありません。徐々にわかるのですが、とてもたくましい保護猫です。
(峯田 淳)
峯田 淳(みねた・あつし)
コラムニスト。1959年、山形県生まれ。埼玉大学教養学部卒。フリーランスを経て、1989年、夕刊紙「日刊ゲンダイ」入社。芸能と公営競技の担当を兼任。芸能文化編集部長を経て編集委員。2019年に退社しフリーに。著書に「日刊ゲンダイ」での連載をまとめた「おふくろメシ」(編著、TWJ刊、2017年)、全国の競輪場を回った「令和元年 競輪全43場 旅打ちグルメ放浪記」(徳間書店刊、2019年)などに加え、ウェブメディアで「ウチの猫がガンになりました」ほか愛猫に関するコラム記事を執筆、「日刊ゲンダイ」で「前田吟『男はつらいよ』を語る」を連載中。