からだ・美容
手軽にたるみ解消できると人気の「糸リフト」 ダウンタイムはどれくらい? 注意すべき点を医師が解説
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教えてくれた人:佐藤 卓士
シミやシワ、潤い不足のしぼんだような肌……。老けて見える原因はさまざまありますが、加齢とともにハリがなくなり、口元やフェイスラインがゆるんでくると、実年齢よりも上に見られがちです。とくにここ数年は、マスク生活で表情筋をあまり動かさなかったことで、30代でもたるみを気にしている人が増えました。そんななか注目されているのが、メスを使わずにできる美容整形「糸リフト」です。気軽にできるといわれていますが、実際はどうなのでしょうか。気になっているけれど、正解がどうもわからないという健康や美容の疑問を医師が解説する連載。今回は、糸リフトについて美容形成外科の佐藤卓士医師に伺いました。
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肌の内側から糸でたるみを引き上げる糸リフト
たるみ始めた頬やフェイスラインを切開なしでシャープにできると、美容医療デビューとして糸リフトを選ぶ人が増えているそう。SNS上でも「体験しました!」という報告をよく見かけます。
糸リフトとは、簡単にいうと皮膚に特殊な糸を入れ、内側からたるみを引き上げる方法です。クリニックによってメニュー名は異なりますが、仕組みはほぼ同じ。
使う糸にも種類がありますが、主流はトゲのような突起があり、時間が経つと溶けて体内に吸収されるものです。特殊な長い注射針を使って皮下に挿入し、糸の端を引っ張ってたるみを引き上げます。引き上げる作業は医師による手作業です。引き上がり具合を見ながら調整していきます。
糸の突起で皮膚組織に引っかけて、上がった状態をキープします。時間の経過とともに糸は溶けていきますが、挿入したときは異物が入ってきたと皮膚の組織が反応し、その刺激によってコラーゲンやエラスチンが増えるといわれています。コラーゲンやエラスチンは肌の弾力、ハリを保つ成分なので、たるみ改善につながるのです。この効果を期待して、たるみの初期に施術を受ける人もいます。
数日腫れる程度で、ほぼダウンタイムなしでシャープな顔に
糸を挿入する場所は引き上げたい部分によって多少異なりますが、目立たない生え際あたりです。もちろん麻酔をしてから行いますので、痛みはほとんどありません。
施術は10~20分ほどで終わります。カウンセリングや前後の処置などを含めれば、30分から1時間はみておくといいでしょう。
内出血や腫れは1週間以内には落ち着いてきますし、針穴は徐々に消えて目立たなくなります。施術後は普段通りの生活をして問題はありません。ただ、内出血のリスクはありますから、1週間くらいは血流を促すようなことは避けてください。たとえば、飲酒や運動、長湯です。
皮膚組織に糸がなじむまでは、口を大きく開けると引っかかりがはずれてしまうおそれがあるので、注意してください。歯科治療の予定がある人は計画的に行ったほうがいいですね。糸リフトをしてから1か月くらいは、口を大きく開ける行為は避けたいところです。また、マッサージをするなど外からの刺激も控えましょう。