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歯の詰め物がはずれたときに「避けるべき」応急処置 飲み込んでも問題ない? 歯科医師に聞いた

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:越智 英行

粘着性のある餅は要注意 はずれた詰め物を一緒に飲み込んでしまったら?

 餅を食べているときに、古い詰め物などがくっついて取れてしまうこともあります。たとえば、治療から10年以上経っている銀歯ははずれやすいため、できる限り銀歯が詰まっていない側の歯で噛むようにしましょう。銀歯を入れていて心配なら、餅のような粘着物を食べるのは控えたほうが良いかもしれません。

 また詰め物が取れたことに気づかず、そのまま餅と一緒に飲み込んでしまうケースもあるかもしれません。基本的に、飲み込んだ詰め物はいずれ排泄されるので、そのままでもとくに体に影響はありませんが、飲み込んだ際にむせ込みなどがあった場合は、食道ではなく気管や肺のほうで誤嚥している可能性もあるので注意が必要です。そのような場合は、緊急に病院へ行きましょう。胸のレントゲンを撮る際は、詰め物の種類がCAD/CAMやセラミックなどの非金属の場合は写らないことを知っておいてください。

 いずれにしても、詰め物は飲み込まないことが前提です。食事の際は飲み込む前にしっかり噛んで、誤嚥などをしないように気をつけましょう。

取れた詰め物 そのまま歯に戻す? 家庭用の接着剤でくっつける?

 食事中など歯の詰め物が取れたことに気づいたら、回収して保管してください。詰め物が取れてしまい、歯に違和感があるかもしれません。しかし、歯がしみるなどの痛みがない場合は、しばらくは取れた状態で大丈夫です。なるべく早く受診しましょう。もし痛みがある場合は、休日祝日も診療を行っている歯科クリニックへの早急な受診をおすすめします。詰め物の一部が欠けてしまった際も同様です。

 一度取れてしまったものは、特殊な歯科接着剤を用いないと歯にくっつけることはできません。詰め物が取れてしまった際に、そのまま詰め物を歯に戻して過ごす人もいるかもしれませんが、戻してもまた取れてしまい、ふとした際に飲み込んでしまう可能性もあるので戻さないようにしてください。

 また、自分の判断で、自宅にある日用品に使うような接着剤を使って詰め物を歯につけることも避けてください。詰め物がはずれた歯に虫歯があったり、歯の一部が欠けていたりすると、治療や詰め物の作り直しが必要になります。家庭用の接着剤でつけ直してしまうと、つけ直した詰め物をはずすために詰め物と歯を大きく削らないといけない場合も。さらに、歯科治療用ではない接着剤に含まれている成分で歯の神経が損傷する可能性もあります。

 詰め物が取れたら、ご自身で戻したり、くっつけたりせず、取れた状態で歯科クリニックを受診してください。

(Hint-Pot編集部)

越智 英行(おち・ひでゆき)

昭和大学歯学部卒業。東京女子医科大学病院(歯科口腔外科)入局後、昭和大学大学院歯学研究科(臨床系歯科麻酔科学)修了。同大学歯学部全身管理歯科学歯科麻酔科助教を経て、コンパスメディカルグループ「医療法人社団コンパス」の常務理事に就任。患者のQOL向上に寄与し、患者が笑顔になれるような治療を心がける。歯学博士、日本口腔外科学会認定医、日本外傷歯学会認定医。
コンパス内科歯科クリニック赤羽:https://www.compass-dc.jp/akabane/