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「母乳売ります、を買わないで!」 注意喚起にネット騒然 「まさか売る人がいるとは…」 専門家は警告
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日本新生児成育医学会がインターネット上の母乳売買について注意喚起をした投稿が話題になっています。見ず知らずの人から母乳を購入すると、それを飲んだ赤ちゃんが健康被害に遭う可能性があります。2015年に表面化した問題ですが、いまだ母乳の売買が行われています。いったいどんなリスクがあるのでしょうか。専門家に聞きました。
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牛乳の混入や細菌汚染、化学物質混入等のリスク
日本新生児成育医学会の公式アカウントがX(ツイッター)上で注意を呼びかけたのは11月27日のことでした。
「母乳売ります、を買わないで!インターネットでの母乳売買は、牛乳の混入や細菌汚染、化学物質混入等のリスクがあります」
投稿は拡散され、2000件を超える“いいね”が集まりました。「え、素人が自分で搾乳して売ってるんですか?」「こわっ。そんなの子供に飲ませたくないけどな。。」「食品衛生法に引っかかるだろ?」「まさか売る人がいるとは…世も末だね」と、驚きの声が上がりました。
ネット上での母乳売買が最初に報じられたのは2015年のことです。
同医学会理事で昭和大学医学部小児科学講座主任教授の水野克己さんは、「毎日新聞に掲載されて厚労省でも大きな問題になったことがありました。実は私が成分を調べたのですが、菌数がものすごく多くて、しかも母乳には含まれないような成分も含まれていたので非常に危ないです」と、その危険性を指摘します。
あれから8年が経過しますが、ネット上には依然として母乳売買を求める投稿が横行している現状があります。
「海外ではずっと言われていますよ。母乳をインターネットで売買してはいけない。買わないようにと。日本だけのことではないのです」
何らかの理由で母乳が出ない母親がいます。また母乳が出ても、投薬などの影響で赤ちゃんにあげられないケースもあります。そうした悩みに付け込むのが母乳の売買です。
ネット上には、「#母乳売ります」のハッシュタグが存在し、希望すれば簡単に取引できます。日本財団の笹川陽平会長も先月、自身のブログに「最近、SNSを中心にネット上で母乳の売買が行われているようです」と書き込み、そうした母乳を購入しないよう呼びかけました。
水野さんによると、母乳の売買は、かねて妊娠中や子育て中の女性が閲覧するサイトに掲載される傾向にありました。自ら搾乳した母乳を小分けにして冷凍保存し、注文が入ると、発送する仕組みですが、買ってはならないと警告します。
「授乳中の女性が搾乳して冷凍したものであったとしても、どのような状況で搾乳しているか分からないですよね。手を洗っているのかどうかも分からないし、その女性がどのような感染症を持っているかも分からない。母乳というのは感染性のある体液で、当然のことながら、HIVなどのウイルスが母乳から移る可能性もあるわけです。そういう点では非常に危険で、絶対に買わないでくださいということを伝えなければいけません」
牛乳が混入していただけでも、赤ちゃんには影響があると言います。
「牛乳成分によって少量ですぐに赤ちゃんに影響が及ぶことはありませんが、牛乳には鉄分が入っていないので、(そればかり飲み続けると)赤ちゃんが鉄欠乏になってしまうのです。いろんな栄養素に関しても、牛乳はあくまでも1歳以上の子が飲むために作られているので、赤ちゃんが必要な栄養が取れなくなります。粉ミルクとは成分が違いますから」
化学物質なら、なおさら懸念されます。「授乳中の女性が、例えば喫煙していると母乳にニコチンなども出てきますし、環境汚染物質が検出される可能性もあります」。そもそも取引の相手が授乳中の女性とは限らず、仲介者かもしれません。「それでも買ってしまったお母さんがいたわけです」と、水野さんは続けました。