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残業しようとしたら上司が驚きのひと言 日本人女性が英国移住で変わった働き方への意識

公開日:  /  更新日:

著者:Moyo

ラッシュアワーでにぎわう、英ロンドンのイングランド銀行前【写真:Getty Images】
ラッシュアワーでにぎわう、英ロンドンのイングランド銀行前【写真:Getty Images】

 働き方改革関連法案が2019年から順次施行され、日本でもワークライフバランスに対する意識が高まっています。ひと足早く推進を始めた英国の実態は、どのようなものなのでしょうか。ひょんなことから英国に移住、就職し、海外在住歴6年を超えたMoyoさんが、外国暮らしのリアルを綴るこの連載。第13回は、英国人の残業やキャリアに対する意識についてです。日本では当たり前のように長時間残業をしていたMoyoさんが、カルチャーショックを受けたこととは。

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「残業するのは仕事ができない人」というレッテルが貼られる英国

 英系企業で仕事を始めたばかりの頃、最初に注意されたことがあります。慣れない英語環境での業務でしたし、その日のうちに済ませてしまいたい仕事もあったので、就業時間を少し過ぎて残業しようとしていました。すると、当時のマネージャーに「ダメです。早く帰ってください!」と言われてしまったのです。

 のちのち聞くと「残業するのは仕事ができない人(=時間内に仕事が終わらない人)」という認識がこちらでは強いため、むやみやたらにオフィスに残らないほうがいいとアドバイスしてくれたのでした。

 どうしても残業しなければならないときは、マネージャーに報告。さらに、その分は正当な権利として代休をもらうべきだと叩き込まれ、すべてが目からウロコです。

 日本の出版社で働いていたとき、100時間以上残業する月もあった“社畜”の世界からやってきた私は、戸惑うばかり。「そんなこと言われても、まだ仕事がありますし……」と食い下がりぎみにもなりましたが、今振り返れば本当にそうだと思います。

 会社や、社員を評価するマネジメント側は、長時間働くことを美徳とはまったく思っていないので、これ見よがしに働いてもマイナス。そこを理解してからは、いかに効率的に正確に仕事をこなすか、業務に余計な部分はないか、時間短縮のために変えられるプロセスはないのかなど、新しい視点で仕事に取り組むことができたのを今でも覚えています。もちろん、それらはすべてできすぎるマネージャーのおかげなのですが。

 日本で働いていたときは、やる気を見せようと上司が帰るまで何かしら仕事があるふりをして無駄にオフィスにいたり、そもそも上司の嫌がらせで自分が帰るまで帰らせてもらえなかったり……(若手全体をそういうふうに扱う体育会系のシステム)。今では苦笑してしまう経験を潜り抜けてきた身なので、どっぷり浸かっていた“ザ・日本の社会”の固定観念を取り払うのに、最初は大変でした。