どうぶつ
「目の前から消えたらお手上げ」 保護猫譲渡で誓約する脱走ヘの備えは 「猫の性格を見極めなければ…」
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やんちゃだけど「意外に憶病な」そうせき まったく異なるクールボーイが…
末っ子のそうせきはというと、意外に憶病なことがわかりました。
玄関のドアを開ける際は後ろにいないか警戒しました。そうせきは何にでも興味を持つので、必ずと言っていいほどあとをついてきます。油断すると、逃走防止の柵などは簡単に飛び越えて、ドアの直前に走り寄ってくるのです。
そんなときは「コラッ」と追い払って、そっとドアを開けていました。でも、そうせきを見ていると、外の世界には並々ならぬ興味があるのに、行くのは入り口のところまで。キョロキョロしながらも、不思議とその先には出ようとしないのです。リードをつけて散歩をさせようと思ったことがありますが、散歩どころか、怖がってしがみついてきます。
それでもリードをつけて外に出してみました。でも、一歩踏み出すのも怖いようで、匂いを嗅ぎ、落ち着きなくあたりを見回しながら、こちらに「助けて!」と懇願するような視線を送ってきます。そして、足を震わせながらドアのところに戻って、大きな声でミーミー鳴いたりします。
ただ、大きな音でびっくりしたときなどに、とっさに飛び出す可能性はあるので、常に警戒はしています。近くには幹線道路もあるので、飛び出した瞬間に、車にひかれる最悪のことも考えなければなりません。
しかし、真ん中のクールボーイだけは、ガトー、そうせきとはまったく異なるのです。熱海まで出かけてもらい受けたときも、部屋の隅っこに隠れるようにしていて、人が近づくと逃げ体勢に入る猫でした。生まれて保護されるまでに、何かひどい恐怖経験をしたのだと思います。それがトラウマのようになって、逃げたいという、脱走体質が体に染みついてしまったのでしょう。
我が家に来た当初は生後2か月ほどです。そんな性格であっても、赤ちゃんなので逃亡したいという意識は淡いものだったかもしれなせん。それが3か月、4か月が過ぎた頃には、サッシやキッチンの後ろの小窓などから、ジッと外を見るようになりました。
クー(編集部注:クールボーイの愛称。以下、同)は我が家に来たときから人に懐かない猫だったので、抱っこできたのはわずかばかりの期間です。それからは近づくとこちらを避けるように逃げて行きます。小窓から外を見ているときも、「ダメ!」と言うと素早く逃げ去っていきます。網戸があるので、手で開けるようにならない限り、外に出ることはできないのですが、それでも警戒だけはしていました。
ところが、ある日、事件が起きます。クーが我が家のどこからか、飛び出してしまったのです。
(峯田 淳)
峯田 淳(みねた・あつし)
コラムニスト。1959年、山形県生まれ。埼玉大学教養学部卒。フリーランスを経て、1989年、夕刊紙「日刊ゲンダイ」入社。芸能と公営競技の担当を兼任。芸能文化編集部長を経て編集委員。2019年に退社しフリーに。著書に「日刊ゲンダイ」での連載をまとめた「おふくろメシ」(編著、TWJ刊、2017年)、全国の競輪場を回った「令和元年 競輪全43場 旅打ちグルメ放浪記」(徳間書店刊、2019年)などに加え、ウェブメディアで「ウチの猫がガンになりました」ほか愛猫に関するコラム記事を執筆、「日刊ゲンダイ」で「前田吟『男はつらいよ』を語る」を連載中。