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どうぶつ

「家で飼わないと長生きしない」 獣医師の言葉を守るも… 元保護猫が脱走した経路

公開日:  /  更新日:

著者:峯田 淳

外への興味が強かったクールボーイ【写真:峯田淳】
外への興味が強かったクールボーイ【写真:峯田淳】

 猫を家族の一員としてお迎えする方法として、保護猫の譲渡を選択する人が増えています。さまざまな誓約を交わし家族の“ひとり”となった子が、安全に幸せに暮らせるようにするには、どんなことに気をつける必要があるのでしょうか。コラムニスト・峯田淳さんが、保護猫活動について連載する企画。今回は、2度の脱走を招いた自宅の環境などを綴っています。

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「隙あらば逃げようとして」いたクールボーイ 普段から注意するも…

 我が家は3階建ての戸建てですが、その前はマンションの3階でした。当初、飼っていたのは2021年に死んだ「ジュテ」だけでした。

 ジュテは東北の震災があった2011年3月に近所の薬局の近くから、ついてきてそのまま居ついた猫です。マンションの大規模修繕が行われたときに、工事用の足場にひょいと飛び乗って、マンションを一周するようになったのをきっかけに、外に出るようになり、玄関から出て、トイレを済ませるようになりました。

 しかし、今の家は近くに幹線道路があり、かかりつけの動物病院の先生に「家で飼わないと長生きしない」と言われたこともあって、外には出さないようにしました。2016年に保護猫団体からもらった「ガトー」も、外に出ないように注意して育てていました。

 そして、2019年に「クールボーイ」がやってきます。人に懐かず、隙あらば逃げようとしている猫なので、注意していたつもりでした。しかし、2度も信じられないような脱走劇を演じるのです。逃げた現場を見ていないので、真相は今もわかりません。

 最初は2019年、我が家にやってきて5か月くらいたった頃のことです。2016年に購入した戸建ての家は完璧といえるほど内装その他をリニューアルしていましたが、外壁は建てられたときのままで、ずっと気になっていました。そこで、外壁塗装をすることにしました。

 その際は足場を組むことになりますが、サッシも網戸もすべて閉め切って、猫が外に出られないようにしていました。しかし、そのときは台所のサッシも網戸も開いていたのではないかと思います。

閉め切っていたはずの台所のサッシ【写真:峯田淳】
閉め切っていたはずの台所のサッシ【写真:峯田淳】

 工事の人がペンキを塗るときに養生をしますが、養生のために窓を動かし、ガードするために締めている網戸を開けてしまったのではないか。網戸がなくなって開いた窓から、ぴょんと飛び出した……。

 クー(編集部注:クールボーイの愛称。以下、同)はよく窓枠に来て、恨めしそうに外を見ていることがありました。工事の人が網戸を明け、その場を離れた際に、このときとばかりに外に出た……。工事の人に猫のことを聞いても、事情がわからず、不思議な顔をするだけでした。本当に台所の窓から脱走したかもわからないので、それ以上、追及することはできません。