どうぶつ
「家で飼わないと長生きしない」 獣医師の言葉を守るも… 元保護猫が脱走した経路
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「逃げるならここからしかない!」 確信した2度目の脱走経路
2度目はコロナが始まった2020年の春です。最初の脱走から4~5か月。2階の寝室に小さめのベランダがあります。ベランダの手すりは丸くなっていて、猫が飛び乗ることはできないので、ジュテとガトーをベランダに出して遊ばせるときがありましたが、脱走癖のあるクーのことは用心し、ジュテ、ガトーだけを出したあと、必ず網戸を閉めるようにしていました。
ところが、出かけようとして確認したら、寝室のサッシも網戸も開いていたのです。嫌な予感がして、クーを探しました。しかし、いない。よく隠れていることがあるので、心当たりがある場所をくまなく探しましたが、どこにも見当たりません。
連れ合いのゆっちゃんに「クーがいない!」というと、「まさか?」という反応。「ベランダ、閉めてなかったの?」と聞くと、「網戸は閉めたよ」と言います。ただ、ガトーは網戸を開けて外に出ることがありました。もしかしてガトーが出たくなって手で開けた? その隙にクーが?
しかし、どこをどう探してもクーの姿はありません。ただ、慌てても仕方がないし、ときどきひょっこり現れることもあるので、不安だけど、帰ってから、また確認することにしました。
とにかく、仕事を済ませて帰宅しました。取るものもとりあえず、クーを探しました。やはりいません。そして、ふたりでベランダを確認しました。これは推測になります。ベランダの手すりの角に植木鉢を乗せるホルダーがありました。そのときはそこに植木鉢が乗っていなかったのです。
「植木鉢は、どうしたの?」と聞くと、「植木を始末するからはずした」とゆっちゃんは言います。ホルダーの前にクーラーの室外機があります。元気な猫なら室外機に乗ってホルダーに飛び乗るのは簡単そうです。
さらに、その先には斜め後ろ隣りの家のひさしがありました。その距離、1メートル50か60センチ、あっても2メートル。瞬発力があるクーなら飛べない距離ではありません。
「ここだな」。顔を見合わせ、そう納得したのでした。逃げるならここからしかない!
そして、脱走したクーの2度の捕獲作戦は壮絶でした。
(峯田 淳)
峯田 淳(みねた・あつし)
コラムニスト。1959年、山形県生まれ。埼玉大学教養学部卒。フリーランスを経て、1989年、夕刊紙「日刊ゲンダイ」入社。芸能と公営競技の担当を兼任。芸能文化編集部長を経て編集委員。2019年に退社しフリーに。著書に「日刊ゲンダイ」での連載をまとめた「おふくろメシ」(編著、TWJ刊、2017年)、全国の競輪場を回った「令和元年 競輪全43場 旅打ちグルメ放浪記」(徳間書店刊、2019年)などに加え、ウェブメディアで「ウチの猫がガンになりました」ほか愛猫に関するコラム記事を執筆、「日刊ゲンダイ」で「前田吟『男はつらいよ』を語る」を連載中。