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「中トロだけを食べるんです」 球団通訳だけが知るプロ野球界の元“助っ人”たちの異常なこだわり
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ガルセス選手が食べていたのは具材もチーズも、トマトソースさえないピザ
選手たちの偏食にも、いろいろなパターンがあるようです。
ドミニカ共和国出身の投手、フランク・ガルセス選手は2017年だけの在籍でしたが、食の偏りぶりはほかの外国人選手に負けていません。
何はなくともピザ! 幸い、国内の遠征先ならどこへ行ってもデリバリーのピザ店があるので、苦労はなかったようです。しかし、食べ方はかなり独特でした。
「生地の上にチーズをのせただけで、ほかの具材はおろか、トマトソースさえもかけないんです。だから、生地が厚いか薄いかくらいの違いなので、どこの店でも問題ありません。ただ、あれだけを食べ続けるなんて……」
今も町田さんの脳裏に焼きついて、消すことができない衝撃のようです。
ただ、ガルセス選手も当初は、球団の用意する食事や遠征先のホテルの食事会場で同じものを食べていたそうです。「おそらく日本食に飽きちゃったんでしょうね」と町田さん。ピザがおいしいのはわかりますが、さすがに具材もソースもないなんて信じられません。
対照的に、食に強烈なストイックさを見せた選手も
アスリートですから、当然ながら健康志向の強い選手もいます。
2015年に、外野手としてプレーした米国出身の日系人、アンソニー・セラテリ選手がそのひとり。「ファストフードはエネルギー、パワーにならないから嫌いなんだ」と一切口にしなかったそうです。
プロ野球は移動が多く、ゆっくりと食事をする時間が取れないときもあります。多くの外国人選手はそれを理解しているので、「コーヒーショップのパンやスナックでOKだよ」と、簡単な食事で済ませることを受け入れてくれる選手が多いといいます。
そんななか、セラテリ選手は「米とかパスタとか、エネルギーになる炭水化物じゃなきゃダメだ。早くホテルにチェックインしたい」というストイックぶり。通訳1年目だった町田さんは、少々苦労した記憶があるそうです。
かつては日本食をまったく口にしない選手もいましたが、いまや「おいしいラーメンの店を教えて」「ここのおいしいものは何?」と聞いてくる選手も増えたそう。“助っ人”外国人選手には、ぜひ日本でプレーする間に、日本のおいしさも知ってもらいたいですね。
(芳賀 宏)