Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

仕事・人生

亡き父への思いから生まれた低アルコールのクラフトカクテル 娘が語る誕生秘話と思い

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・出口 夏奈子

低アルコールのクラフトカクテル「koyoi」で提供するのは“心地良い”時間

 タウンワークの上から下まで順番に電話し、ネットでも調べ尽くして、「たぶん500件ぐらいは電話したと思います」と石根さん。そのうち、実際に話を聞いてくれたのは1割ぐらいで、なかでも「いけそうだな」と感じた酒蔵会社があれば、すぐに足を運んだそうです。

 そうやってできあがったのが、低アルコールのクラフトカクテル「koyoi」。ネーミングは、「今宵」と「小酔い」のダブルミーニングになっており、「心地良い時間を過ごしてほしい」という思いが込められています。アルコール度数は約3%。ビールよりも低いアルコール度数で心地良い時間が味わえます。さらに保存料や人工甘味料、着色料を一切使用していないナチュラル製法のため、体にもやさしいカクテルなんだそう。

 新卒採用の会社を飛び出してからのこれまでを振り返り、「満足もしていないし、成果も出せていないんですけど、もうちょっとスマートにやれただろうとは思います」と自己評価する石根さん。「今が一番必死」だといいますが、「見える世界も変わってきた」と口にします。

「やっぱり必死だからこそできるんだと思います。やった経験値が少しずつ溜まってきているのかな。24歳の自分に、いまさらながらですが『マジで今のあなたの1000倍必死にやってるから、もっと頑張れ!』って言いたいです(笑)。人って登る山を決めたら、あとは必死に登るだけだから強くなれますね」

 代表を務める株式会社SEAMとしての夢は、「お酒でみんなが幸せになる時間を作ること」。そして個人としての夢は、「たとえ自分が死んだとしも、ずっと残る商品とブランドを作ること」だといいます。

 最後に「お父さんがもし、今の事業内容を知ったら?」と聞いてみると、「父方の親族はすごく喜んでくれています」と教えてくれました。そして……。

「本当のことを言うと、こういう商品があれば父の人生もちょっと変わっていたかもなあって思うところから、この事業を始めたんです」

 その思いが生み出した低アルコールのクラフトカクテルが、人と人をつなぐ新しいアイテムになるのかもしれません。

◇石根友理恵(いしね・ゆりえ)
広島県出身。神戸大学を卒業後、株式会社サイバーエージェントに入社。スマートフォンのアプリを立ち上げるSNSマーケティングを担当。その後、約1年半で退職し、父の死をきっかけに、酒造の知識もないところから、低アルコールのクラフトカクテル「koyoi」を作り上げる。製造販売を手がける株式会社SEAMの代表取締役社長を務め、「ココロを満たしたカラダに優しいアルコール文化を」というミッションのもと、低アルコールのクラフトカクテルの展開を行っている。

(Hint-Pot編集部・出口 夏奈子)