仕事・人生
「寿退社がうらやましいと思う時代だった」 銀行を辞めてドイツ系証券会社に転職 輝く起業家のこだわりとは
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女性経営者や中小企業を始め、社会のITリテラシー向上のための企業研修などを行うデジタル活用コンサルタントの小林玲子さん。中学から高校時代の約5年間をドイツで過ごし、帰国後は日本の大学に進学。卒業後に就職、結婚、出産、転職とさまざまなキャリアシフトを経て、現在の活動に至っています。さまざまな分野で活躍する女性たちにスポットを当て、その人生を紐解く連載「私のビハインドストーリー」。後編は、小林さんがデジタル活用コンサルタントとして活躍することになったきっかけ、コロナ禍を経て見据える未来について伺いました。
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銀行でキャリアをスタート 転職後に結婚
小林さんは2020年に、ITリテラシーの向上や生産性向上をサポートする活動を個人事業主として立ち上げ、今年3月に法人化しました。現在は中小企業の支援が主な事業内容ですが、ゆくゆくは「女性起業家の支援がしたい」といいます。
「自分自身が過去に『女性だから』という理由で虐げられたと感じた経験があります。多感な10代を、自己主張しないと生き残れなかったドイツで過ごした経験も大きかったと思いますが、私は女性が『女性だから』という理由で制限されることを良しとしない人間だったんです。だからこそ女性が輝くためのお手伝いがしたいという思いが強いんだと思います」
ドイツから帰国して、日本の大学に入学。卒業した小林さんは為替専門の銀行に入行しました。当時はバブルの後半期。女性といえど、就職は引く手あまただったそうで、「海外とのつながりを大切にしたい」と入行を決めたそうです。
当時は今とは異なり、女性は一般職での採用がほとんどでした。行員同士で結婚すればどちらかが退職するのが普通で、それは女性であることが一般的。もちろん、仕事を続けるキャリア志向の女性もいましたが、女性自身が「寿退社が『うらやましい』と思うような時代だった」といいます。
そんな価値観の時代、「銀行員として今の業務を究めることもできましたが、自分の中に違和感を覚えるようにもなってしまったんです。本当はもっとドイツ語を使いたいと思う自分に気づいたんだと思います」と小林さん。
思い出したくもないほどつらかった10代を過ごした、ドイツでの猛勉強の日々。実は、あれが自分の原点ではないのだろうか? そんな思いが強くなり、小林さんは3年ほどで銀行を退職。ドイツ系の証券会社へ転職を決めました。