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「お腹撫でてもいいよ」 相棒亡くした元保護猫 外出を阻止しようとする健気な姿にドイツ在住記者が苦悩した理由

公開日:  /  更新日:

著者:島崎 英純

愛猫・ココロの寂しげな表情に胸が痛むことも

島崎さんにべったり甘えるココロ【写真:島崎英純】
島崎さんにべったり甘えるココロ【写真:島崎英純】

 僕が語学学校の生徒たちと交流を楽しんでいる間、愛猫の「ココロ」を“ひとり”でお留守番させる時間が長くなりました。昨年の6月に同居猫の「サツキ」を天国へ見送り、その後は“ふたりっきり”の生活に。僕は、家を空けることが多くなったことで、ココロに寂しい思いをさせてはいないかという心配が募っていました。

 猫は単独行動を好む動物だといわれています。しかし、ココロの場合は生まれたときから母猫と多くのきょうだいに囲まれて育ち、保護主さんの家で暮らして僕の家に来てからも、サツキと一心同体で過ごしてきました。そんなココロが、少なからず“ひとり”で過ごす時間が長くなる生活をどう思っているのかは、その態度や仕草で斟酌するしかありません。

 ココロの起床時間は以前と変わらない様子です。午前5時半くらいから僕が寝ているベッドの周りをウロウロし出して、朝食をおねだりします。ごはんを食べたあとは二度寝して、10時くらいになると「午前の運動開始!」とばかりに家中をダッシュ。ランチタイムには大声で鳴いて催促し、ここで小休止。執筆作業に勤しむ僕の膝上を独占して、とぐろを巻いて熟睡しています。

 さて、問題はここからです。当日の仕事を終え、夕方から始まる語学学校の準備を進めていると、ココロが玄関の前に佇んでいます。これまでは自由気ままに過ごしていたのに、寂しそうにこちらを見つめているのです。おそらくココロは、毎日のルーティンになっている僕の外出をちゃんと把握しているのでしょう。

 ココロはなんとかこちらの気を引こうと、仰向けになって「お腹を触ってもいいよ」とすり寄ってきます。それでもこちらが気づかないふりをしていると、今度はお気に入りのおもちゃを持ち出してきて、「これで遊んであげてもいいよ」とばかりに上目遣いで見つめます。ココロよ、わかっているのだよ……あなたが寂しがっていることは。

 それでも断腸の思いで支度を進め、せめてもの罪滅ぼしにと大好物のウェットフードを用意。すると、ココロはようやく観念したようにごはんを貪り、それを終えるとソファの上で体を丸めてそっと目を閉じるのです。

一難去ってまた一難…まだまだ続く語学習得の道

 約4か月間は本当に苦行でした。実はまだ、ドイツ語の講義は超初心者クラスのA1を終え、初級者クラスのA2もなんとか消化した段階です。このあと、僕は少なくとも中級者クラスのB1の講義を約3か月間受けて、そのあとに公的なテストを受けて合格すれば、晴れてドイツ語習得の当面目標が達成できます。

 年始を迎えた今、僕は仕事の関係で1か月半程度、語学学校を休学しなければなりません。その間、僕は仕事の傍らで自習に勤しみ、ココロとの関係性も改善して、なんとか目標を成し遂げたいと思っています。

“アラフィフ”にして語学を習得するのは本当に大変なことだと実感するとともに、新たな出会いに喜びを覚えました。現在住んでいるドイツという国と、そこで暮らす人々のことをこれまで以上に知れていることにおおいなる意義を感じつつ、このかけがえのない“今”を生きようと思います。

(島崎 英純)

島崎 英純(しまざき・ひでずみ)

1970年生まれ。2001年7月から2006年7月までサッカー専門誌「週刊サッカーダイジェスト」(日本スポーツ企画出版社刊)編集部に勤務し、Jリーグ「浦和レッドダイヤモンズ」を5年間担当。2006年8月にフリーライターとして独立。2018年3月からはドイツに拠点を移してヨーロッパのサッカーシーンを中心に取材活動を展開。子どもの頃は家庭で動物とふれあう環境がなかったが、三十路を越えた時期に突如1匹の猫と出会って大の動物好きに。ちなみに犬も大好きで、ドイツの公共交通機関やカフェ、レストランで犬とともに行動する方々の姿を見て感銘を受け、犬との共生も夢見ている。