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引っ越し当日の心構え スムーズに作業を終わらせるための大切な事前準備とは

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

教えてくれた人:伊藤 まき

バタバタしがちな引っ越し当日。注意すべきこととは(写真はイメージ)【写真:写真AC】
バタバタしがちな引っ越し当日。注意すべきこととは(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 引っ越しをスムーズに終わらせるには、トラブルをそもそも回避する、もしくは発生したとしても対応できる事前準備がものをいいます。引っ越し業者に荷物を運んでもらう際の注意点には、どのようなことがあるのでしょうか。輸入雑貨店で梱包を学んだ経験を持ち、荷解きや業者選びにも詳しい、整理収納アドバイザー・伊藤まきさんに、荷運び時のポイントをお聞きしました。

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引っ越し作業前に室内の写真撮影を行うべし

 引っ越し当日、とくに注意したいのは、引越し業者による搬出・搬入の際の汚れや破損です。作業に慣れている作業員であっても、ミスをしてしまうことはあります。床に重たい家具を落とされてボコっとくぼんでしまったり、段ボールや家具がぶつかって壁紙が傷ついたりすることなど、絶対にないとは言えません。

 しかし、作業員が傷つけたという明確な「証拠」がない限り、泣き寝入りするしかない場合も。賃貸の場合は原状回復のために余計な出費がかかることになりますし、新築の家に傷が付いたら目も当てられません。実際に、我が家でも新居の壁に傷を付けられ、かなり落ち込みました。

 まずは「証拠」を確保するために、旧居・新居ともに、引越し前にあらかじめ廊下や壁、玄関など、さまざまな場所の写真を撮影しておきましょう。日付や時間などのデータが残る、デジタルカメラやスマートフォンで撮影するのがおすすめです。また、引越しの際は必ず大人2人以上で立ち合いを行い、作業員さんの動向に目を行き届かせておくことが肝心です。

 なお、きちんとした業者であれば、柱や壁、廊下などに必ず養生を行います。当日は養生の状態をチェックし、行き届いていない場所がないか確認しましょう。心配な場合は、自身で養生用テープやビニール袋、タオルなどをあらかじめ用意しておき、傷になりそうな場所をカバーしておくといいと思います。

 とくに、廊下や玄関、階段が狭い家や、家の前の道や門が狭い家は、注意を怠らないようにしましょう。また、引越し業者と契約する際には必ず「運送業者貨物賠償責任保険」に加入しているかを確認しておきましょう。

大切な物は自分自身で管理を

 当日の引越し作業をスムーズに行うためには、どこに何を置いておいたほうが便利か、引越し業者にあらかじめ確認しておくといいでしょう。たとえばキッチンであれば、冷蔵庫や食器棚など大型の荷物を搬出する必要があります。そのため、食器や雑貨を入れた段ボールがキッチンに置いたままになっていると手間も時間も余計にかかってしまいます。

 スムーズに作業できる環境を整えておけば、業者側も余計なことに気を取られることなく作業ができ、トラブルを減らすことができます。子どもやペットがいる場合は、可能な限り誰かに預けて現場をウロウロさせないようにすることも大切。不慮の事故を防ぐことができます。

 また、貴金属やパソコン、カメラ、高級酒などの高額な物や、貯金通帳や印鑑などの貴重品は、業者に任せず自身で管理することを忘れずに。「まとめて段ボールに入れおいたはずなのに!」なんていう言い訳は残念ながら通用しません。大切なものは肌身離さずに。引越し時にバタバタしそうであれば、信頼のおける親族や友人宅にあらかじめ預けておくといいでしょう。

 なお、国土交通省が定めた「標準引越運送約款」によると、引越しによる荷物の紛失や破損に気づいた場合は、引越し荷物を受け取ってから3か月以内に申し出る必要があります。それ以後に申し出ても事業者側に賠償請求ができなくなるので、引っ越し後にしっかり荷物を確認してください。

 人の出入りが多く、時間に追われて気忙しい引っ越し当日。以上のことをあらかじめ脳内でシミュレーションし、確認しておくべきことを忘れないようにしましょう。

(和栗 恵)

伊藤 まき(いとう・まき)

整理収納アドバイザー1級、クリンネスト2級。ホテル清掃員や国鉄系レストランの厨房、内装会社、デパートの搬入搬出などで経験を積み、出版社に入社したのち独立。掃除しながら片づける「整理収納のプロフェッショナル」として各種ウェブメディアで記事を手がけ、掃除本の編集ライターとしても活躍中。
インスタグラム:maki_organize