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害虫対策は引っ越し時に! 虫を侵入させないためのポイントとは 掃除のプロが解説
公開日: / 更新日:
教えてくれた人:伊藤 まき
引越し前に新居の掃除はしても、「害虫対策」まで行う人は少ないのではないでしょうか。荷物を搬入する前なら、ゴキブリやムカデなど害虫の侵入を防ぐ対策をしやすいですし、引越し後の生活が快適になります。整理収納アドバイザーであり、掃除事情に詳しい伊藤まきさんに、引越し前にしておくべき害虫対策についてお聞きしました。
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エアコンのホースも忘れずにチェックを
知らない人が意外と多くて驚くのが、入居前の害虫対策です。とくに賃貸物件や中古物件の場合はしっかり対策したいところ。
まず、必ず対策したいのが「隙間」です。居室はもちろん、トイレや浴室、洗面所、キッチンなども忘れずに隙間がないか確認してください。作り付けの棚や収納庫、クローゼットの中なども例外ではありません。もしも、隙間があったらホームセンターなどで購入できるパテや隙間テープを使って埋め、害虫が侵入できないようにします。燻煙式の害虫駆除剤を焚いたり、設置型の毒餌を置いたりするのも有効ですが、そもそもの侵入経路が残っていたら意味がないからです。
続いて、換気扇(プロペラタイプ)や換気口、排水口(ベランダ含む)、エアコンのドレンホースなど、家の外とつながっている部分には、100円ショップでも購入できるストッキングタイプの水切りネットなどを取り付けて害虫の侵入を防ぎましょう。換気扇や換気口は、カバーの部分にネットをかけます。エアコンのドレンホースは、室外機の横に出ている先の部分にネットをかぶせて、輪ゴムなどで留めましょう。
マンションのパイプスペース(給水や排水に必要な管がまとまった空間)や、天井や壁に設けられた点検口も、害虫が侵入してくるポイント。こちらは扉の隙間から害虫が侵入してこないよう、はがしやすいマスキングテープを貼っておくといいでしょう。
また、シンクの下の排水口部分に、隙間が開いていないかもよく確認しましょう。隙間がある場合は、パテで埋めておくと、害虫対策だけでなく下水の匂い対策にもなります。さらに、水回りの「排水トラップ」が正しく機能しているかどうかのチェックも忘れずに。長時間空き家状態になっていた家は、排水トラップの水受けが乾いて虫が入りやすくなっていることも。また、暗く人気がない環境は虫が好むので、そういった場所も確認しておきましょう。
なお、建てたばかりの新築住居は、建材そのものに防虫効果が付加されていることがあるので、そこまで神経をとがらせる必要はありません。ただ、隙間があれば小さな虫は入ってきやすくなるため、隙間対策だけは忘れずに行ってください。
繁華街や自然が多い地域は害虫対策が重要
飲食店が連なるような繁華街にある住居や、階下に飲食店が入居している雑居ビル内の部屋は、とくに入念な害虫対策が必要です。また、その逆で周囲が大自然に囲まれている家も虫が侵入してきやすい環境です。先に述べた対策以外にも、玄関ドアや郵便受け、窓のサッシなどに虫の侵入を防ぐための隙間テープを貼るといいでしょう。あらかじめ目の細かい網戸に張り替えておくなどの対策も有効です。
また、こうしたエリアでは窓や玄関を開けっぱなしにするのは厳禁。引越し当日は、荷物搬入のためにどうしても長時間開けたままになりがちなので、クモ除けや虫除け用のスプレーを、窓や玄関まわりにスプレーしておきましょう。
虫の侵入経路はそれだけではありません。引っ越しの荷物にくっついて侵入してしまうケースもあります。荷物を一時的に倉庫などへ預けておき、その後新居に搬入する場合などは、とくに倉庫内で害虫が荷物に入り込んでしまう可能性があります。多少面倒でも、段ボール箱はテープをきっちりと張ってふさぎ、害虫が侵入できないようにしておくことが大切です。
ちなみに、観葉植物などの鉢に害虫が潜んでいた……ということもよく聞く話です。どうしても虫が苦手で見るのもイヤだという方は、観葉植物を置かないことも、害虫対策の一手になります。
(和栗 恵)
伊藤 まき(いとう・まき)
整理収納アドバイザー1級、クリンネスト2級。ホテル清掃員や国鉄系レストランの厨房、内装会社、デパートの搬入搬出などで経験を積み、出版社に入社したのち独立。掃除しながら片づける「整理収納のプロフェッショナル」として各種ウェブメディアで記事を手がけ、掃除本の編集ライターとしても活躍中。
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