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仕事・人生

流産で不定愁訴に悩まされた女性 不調と向き合い乗り越えた末に手に入れた50代での活躍

公開日:  /  更新日:

著者:河野 正

薬膳料理研究家でフードコーディネーターのかみむら佳子さん【写真提供:かみむら佳子】
薬膳料理研究家でフードコーディネーターのかみむら佳子さん【写真提供:かみむら佳子】

 頭痛やのぼせ、イライラや不眠――更年期の代表的な症状に悩まされる人も多いでしょう。30代での第2子流産がきっかけで、気分の落ち込みや倦怠感などが代表的症状の不定愁訴を発症した現在50代のかみむら佳子(けいこ)さん。今では自らの教室を開講するほか、薬膳料理研究家、フードコーディネーターとして活躍中です。人生100年時代を健やかに。かみむらさんに当時の不調や乗り越え方、これからの思いなどを伺いました。

 ◇ ◇ ◇

35歳で第2子を流産 不調が続く日々

 かみむらさんの社会人としてのキャリアは、ハウスメーカーでの営業からスタートしました。5年ほど担当した住宅展示場などでの接客はとてもやりがいがありましたが、人事異動で内勤の辞令が。営業職が性に合っていただけに、思い切って退社を決断し、全くの異業種に飛び込みました。

「私、小さい頃から料理に興味があったんですね。それに加えて、ちょうどフードコーディネーターという職業が注目され始めた頃だったので、養成学校に通って勉強しました。資格を取ってからはその学校でアシスタントを務めていたんです」

 アシスタント業を続けながら29歳で結婚し、第1子を妊娠。ただ、第1子となる長女は妊娠判明直後に流産しかけ、その後は早産しそうなるなど、苦労を経験しました。そして、35歳の時に妊娠した第2子を流産してしまったのです。これがかみむらさんの現在を形成するきっかけとなりました。

 流産後、フードコーディネーターの仕事を徐々に再開していましたが、流産による体の不調がなかなか収束しない日々を過ごしたといいます。

「人と会いたくない、やる気がない、前向きになれない、といった憂鬱な状態に陥ったんです。生理の前後は気分的にも随分と落ち込みましたね。家族に影響するほどひどいヒステリーを起こしてしまったり……。これではいけないと感じながらもどうすることもできず、悶々とした毎日を過ごしていました」

不定愁訴をピルなどで緩和 精神的には安定するも……

不調が続いたころのかみむらさん【写真提供:かみむら佳子】
不調が続いたころのかみむらさん【写真提供:かみむら佳子】

 かみむらさんの場合、胎児は死亡しているのに出血や腹痛などの症状がまだ出ていない稽留(けいりゅう)流産でした。

「7~8週目につわりが始まったのかなという感覚があったのに、急にムカムカする感じがなくなったんですね。なんだかすっきりしてしまったな、というタイミングで診察してもらったら、医師から『(胎児が)動いていないかもしれない。1週間経過観察しましょう』と言われました。早期だと出血があって流産に気づくのが普通ですが、それもなく、始まっていたつわりが急に終わった感じでした」

 流産の手術を施した際に大量出血し、これが不定愁訴を発症する引き金になりました。体の変調やイライラ、落ち込みなどを緩和するため、ピルやOCと呼ばれる経口避妊薬を処方され、およそ4年間服用して体をコントロール。すると女性ホルモンのバランスに翻ろうされなくなり、落ち込むことも解消。生理周期でも穏やかな心持ちで過ごせるようになりました。

「当時の写真を見ても表情が硬いし、何となく心から楽しんでいない感じがしました。今思うと、あの頃が一番苦しく、ホルモンのバランスを整えるためにピルを飲んで精神的には安定していましたが、自分の気持ちがコントロールされているだけなんだ、という思いが強かったですね」

 どこかすっきりしない状態が長らく続いたそうです。