仕事・人生
流産で不定愁訴に悩まされた女性 不調と向き合い乗り越えた末に手に入れた50代での活躍
公開日: / 更新日:
アレルギー体質でピルを長期間服用に抵抗感 食での改善を目指す
かみむらさんは生来のアレルギー体質でした。小麦粉によるアレルギーがひどく、20歳前後で3回もアレルギー反応でもとくに重篤なアナフィラキシーとなり、3度目では生命の危機に直面した過去があります。
「当時は血液検査でアレルギー反応を調べる処置も積極的には実施していませんでした。小さい頃からアトピー性皮膚炎やじん麻疹にかかりましたが、検査を勧めてくれる皮膚科のお医者さんがいませんでした。幼少期から小麦粉アレルギーなのでパンはおいしく感じなかったですね……。薬に弱い体質で、体に合う薬を飲まないと蕁麻疹などが出てしまうアレルギー体質でしたから、ピルを長い間服用することには強い抵抗感があり、毎日摂取する“食”でどうにかならないかと思案し、薬膳にたどり着いたのです」
食による体質改善と健康増進を目指し、フードコーディネーターの知識と情報を生かして、まずマクロビオティックに関心を示します。これは穀物や野菜を中心とした食事法により、健康な暮らしと長寿を実現しようという考え方です。ただ、「何でも食べられる薬膳のほうが私には向いている」と考え、通信教育で薬膳料理に必要な中医学を学んでいるうちに、その考え方に大いに惹かれました。
中医学理論を勉強すると、流産に至った理由やストレスによる体の変調など、自分に照らし合わせると、思い当たる点がたくさんあり、学ぶことがますますおもしろくなって奥深くまで知りたくなったそう。
「たとえば、中医学の観点からは、私はもともと胃腸が弱く、食も細いことが原因で、内臓に子どもを留めておく力が不足していたんです。また、流産で大量出血した際には、血を補う効能がある食材をたくさん取り入れるべきだったのにそれを知らなかったため、血液不足で更年期のような症状になってしまったのです」
薬膳スペシャリストとして「女性たちの元気」をサポート
かみむらさんは、2008年から次々と資格を取得しました。国際薬膳調理師や国際中医薬膳師、雑穀エキスパートなど――。薬膳は奥が深く、段階を経ていかないとなかなか理解につながらなかったそうです。
薬膳料理に適さない食材はないそうですが、それぞれの特長を生かして使わないと効果がないといいます。
「その人に合った使い方が重要です。たとえば更年期の人は体がほてっているので、体を温めすぎる効能を持つ食材の摂り過ぎはダメです。そしてもちろん体質などに応じて食材を変えないといけません」
2016年には『あなたスタイル薬膳(R)Kazen』という、中医学・薬膳指導で定評のある鎌倉薬膳アカデミーのライセンス認定教室埼玉クラスを開講。昨年は『ゆえに薬膳』株式会社を共同で設立し、女性経営者向けに薬膳や中医学で心身をマネジメントするなどのサポートを行っています。
「もともと、流産による体調不良がきっかけで薬膳と出会い、人を元気にすることの喜びを発見しました。中医学を学び、私がこれまで患ってきたものの原因がストレスにあることもわかったんです。
今年から理学療法士と更年期向けのサロンを始め、私はつらさを知っているのでこの経験を伝えたい。人生100年時代です。女性は更年期に入る50歳なら、残り50年あります。女性が元気でいてほしいという思いが強く、少しでも助けになる役割を果たしていきたいですね」
つらい経験をきっかけに、自らと向き合い、学び、乗り越え、次々と行動を起こしてきたかみむらさん。女性たちの元気をサポートしていく思いにあふれています。
大学卒業後ハウスメーカーの営業職にて勤務後、28歳でフードコーディネータースクールに通い、アシスタントを経て独立。35歳で第二子流産後に続いた体調不良をきっかけに、薬膳を学び始める。「あなたスタイル薬膳(R)Kazen」を主宰し、身近な食材で手軽に養生を実践する簡単薬膳や中医学の指導、セミナーなどで活動中。
(河野 正)