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からだ・美容

温度差による体の不調…寒暖差疲労かも? 症状緩和の対策とセルフケアを医師に聞いた

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・出口 夏奈子

教えてくれた人:久手堅 司

寒暖差疲労になりやすいタイプとは? 性別で違いも

――年代や性別など、なりやすいタイプの傾向などはあるのでしょうか。

「性別でいいますと、圧倒的に女性が多いです。その理由は、男性に比べて女性のほうが、自律神経が乱れやすいからです。というのも、女性には生理周期がありますよね。最近では男性の更年期も指摘されるようになってきましたが、男性の場合は男性更年期になるまでホルモンの変動による不調はほとんどありません。対して女性は毎月、生理周期があり、ホルモンのバランスを崩しやすいので、10代から50代ぐらいまでの女性が多い印象です」

――そのほかにありますか?

「ただ、適度な運動をしている人は大きな寒暖差にも比較的対応しやすいため、不調は出にくいようです。対して、空調の効いた室内でデスクワークをしていてほとんど運動しないという方は、やはり不調を訴える割合が高いように感じます。当院では『寒暖差チェックリスト』を作成しています。たとえば、暑さや寒さが苦手とか、エアコンが苦手、熱中症になったことがあるなどをチェックします。まずはご自身で確認していただいて、自分が、どのくらい症状が出やすいタイプなのかどうかを確認していただけるといいと思います。そのうえで、もし症状が出やすいタイプであれば、対策をしていただくといいでしょう」

寒暖差疲労を防ぐために自分でできること

――寒暖差疲労を引き起こさない、もしくは、起こしにくくするために自分でできる対策があれば教えてください。

「私がよく言っているのが『衣替えをしないでほしい』ということです。日本人って衣替えが好きですよね。昔ははっきりしていた四季も、近年では移り変わりがわからなくなってきています。そんな状況で衣替えをしてしまっては、暑さ寒さに対応できる服がないという事態に陥ってしまい、服装で温度差の調整をすることが難しくなってしまいます。ですから一年を通して、ある程度使えるような服はしまわずに出しておくというのは大事なことなのです」

――とくに寒暖差が激しいこの時期に、気をつけたい点や対策はありますか。

「まだまだ寒かったり、暖かかったりしますので、冷え対策として首元と一緒に手首と足首も冷やさないようにすることが必要です。また日本人の特徴として、これから増えてくるのが花粉症です。ウールなど毛糸素材の服は花粉を屋内に持ち込んでしまいますし、花粉によっても不調になりやすいので、着用する服の素材にも気をつけてほしいです。

 あとは自律神経のバランスです。一般的に朝、太陽の光を浴びることで交感神経の活動が高まり、夜になったら副交感神経の活動が高まりますので、自律神経を整えるためには規則正しい生活習慣を意識してほしいですね」

――不調が出にくい人として「適度な運動をしている」という話もありましたが、やはり運動も大事なのでしょうか。また、ほかに生活で心がけることはありますか。

「そうですね、軽い運動習慣も対策としては効果的です。ジムでの筋トレでも、ウォーキングでもかまいません。毎日とまでは言いませんが、定期的に軽く脈拍を上げたり、軽く汗をかいたりするような運動をしていただくと寒暖差疲労に対応しやすくなります。

 また睡眠も大事です。長い時間を確保できなくても、睡眠導入時の最初の90分をいかに深くしっかり眠れるかが重要ですので、寝つきを良くするためにお風呂でしっかりと体の芯を温めるなど、工夫をしていただけるといいと思います」

――もし寒暖差疲労を疑うような不調を感じたら、どのタイミングで病院の診察を受けたらいいのでしょうか。

「意外とセルフケアで良くなる人は実際に多いので、まずは先ほど話したようなメンテナンスや対策をご自身で行ってみてください。それでも症状が改善しなかったら、寒暖差疲労の可能性があるので外来を受診していただくといいと思います。ただ、体に不調があるからといって、すぐに自律神経の異常だとか、寒暖差疲労だとご自身で決めつけないでください。たとえば頭痛やめまいなどは別の病気の前触れという可能性もありますので、まずはその症状の専門科を受診して病気ではないという診断をもらうことが必要です」

(Hint-Pot編集部・出口 夏奈子)

久手堅 司(くでけん・つかさ)

神経内科専門医、総合内科専門医、頭痛専門医、脳卒中専門医。2013年、せたがや内科・神経内科クリニックを開院。寒暖差疲労外来のほか気象病外来、自律神経失調症外来、肩こり・首こり外来など専門外来がある。