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ちらし寿司は東西でイメージが違う? ひな祭りに食べる理由や具材の意味を栄養士に聞いた
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教えてくれた人:和漢 歩実
ちらし寿司の具材の意味や栄養とは
古くから「縁起が良い」といわれる具材の意味を、子どもの成長に役立つ栄養とともに紹介します。食材に込められた意味を改めて知ることで、また違ったちらし寿司の楽しみ方ができるかもしれません。
○エビ
エビの姿から「背中が丸くなるまで長く生きられるように」という願いが込められています。栄養面では、肝機能を高める、滋養強壮などを謳う栄養ドリンクで有名なタウリンが多いのが特徴。一見「子どもには不要?」と思いがちな成分ですが、実は母乳にも含まれており、赤ちゃんの成長に必要な成分です。
○レンコン
穴があることから「見通しがきく」といわれ、「将来を見通すことができる」という意味があるといわれています。また、種が多いことから「多産(子どもがたくさん生まれる)」の願いも。栄養面では、コラーゲンの合成に欠かせないビタミンCがミカンの約1.4倍も含まれています。
○かんぴょう
細く長い形状から、「長生きできるように」という意味が。結んで使うと「縁結び」のご利益もあるとされています。栄養面では、食物繊維が多く、腸内環境を整えます。
○キュウリ
その名前から「9つの利」をもたらしてくれるといわれています。「たくさんの利益があるように」という願いも。栄養面では、体内の余分な水分やナトリウムの排泄に関与するカリウムを含みます。
○錦糸卵
黄色の食べ物は、「黄金」に通じることから「金運上昇」の縁起物とされることも。栄養面では、卵はビタミンCと食物繊維外の栄養素を含む“最強食品”のひとつといわれています。丈夫な体づくりに欠かせません。
○シイタケ
高価で貴重なものだったことから、神様へのお供え物とされていました。また、形が陣笠に似ていることから「防具」、つまり「身を守ってくれるもの」との意味も。栄養面では、カルシウムの吸収率を高め、骨や歯を丈夫にするビタミンDが豊富です。とくに、紫外線に当てて乾燥させたシイタケはおすすめですよ。
○高野豆腐
原料の大豆は邪気を払うものとされてきました。また、豆には「健康でまめに働く」意味があります。栄養面では、「畑の肉」と言われる大豆を原料としているため、体をつくるたんぱく質が豊富です。
赤、青、黄、白、黒の5色がそろった食材は、見た目はもちろん、栄養のバランスにおいても良いといわれています。ぜひ、ちらし寿司の具材の参考にしてください。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾