からだ・美容
「痛くないから大丈夫」ではない 虫歯の早期発見は定期的な検診がカギ 適切な予防策とは
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忙しいから、なんとなく苦手だから……という理由で、歯医者から足が遠のいている人もいるでしょう。毎日歯を磨いているし、とくに気になることはないからと、何年も行かないままでいると、知らぬ間に虫歯が進行していて治療に時間がかかる場合もあります。適切なのタイミングや、虫歯や歯周病の原因や予防策について、あんどう歯科・美容皮フ科の院長、安藤雄基歯科医師に教えていただきました。
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学生時代は義務化されていた歯科健診、成人になると自発的に 適切なタイミングは?
日本では、乳幼児の頃から高校生までの歯科健診は、自治体や学校での実施が義務づけられています。そのときにもし虫歯が発見されたら、かかりつけの歯医者へ行くように指示されることも。
しかし、社会人になると、個々の責任や自己管理が重視されるようになり、歯科健診は個人の自由です。従事する業種よっては企業から歯科健診を義務づけられる場合もありますが、成人は自身の健康管理に対する責任を持ち、自発的に歯科医院で歯科検診を受けることが期待されています。
健康的な歯を維持するためには、定期的な歯科検診と歯のクリーニングが重要です。一般的には、成人の場合、半年から1年に1回の頻度で歯科医院に通うことが推奨されています。
痛くなってからでは遅い? 虫歯は発見が遅れると治療費がかさむことも
毎日しっかり歯を磨いているし、痛みを感じることもないから虫歯にはなっていないと思いがちですが、歯が痛くなくても虫歯になっている可能性はあります。初期段階としては、痛みを感じることは少ないでしょう。
虫歯は、歯の汚れを栄養分として繁殖した細菌が産出する酸によって歯が溶け、進行します。初期段階の虫歯では、歯の表面のエナメル質もしくは象牙質にとどまり、歯の神経にまで達しておらず、痛みを感じないことが多いです。しかし、虫歯が進行し、神経に影響を与えると急に痛みを感じるようになります。
一度虫歯になってしまうと、放置していても元の健康な歯に戻ることはありません。そして、治療をしたとしても完治することはないため、虫歯で失った歯は人工物で補うことになります。
治療した歯は健康的な歯に比べて汚れがつきやすくなりますし、治療で使用する素材によって虫歯の発生リスクが高まることも。初期段階での発見の場合は費用を安く、短期間で治療を終えることができます。
たとえば、一般的な目安として、保険治療で3割負担の患者の場合、早期の虫歯治療の治療費は約1500円(初診料・再診料など含まず)で、1回の治療で終えることができます。ところが、虫歯の範囲が大きい治療の場合、治療費は4000~1万1000円程度で、治療回数は2~6回に。歯医者へ行かず、虫歯の発見が遅れると、治療にかかる費用にも時間にも大きな差が出ます。